「優勝のためだけに来たんじゃない…」なぜ、グリエーズマンは物議を醸したバルサ移籍を決めたのか?

2019年12月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

古巣ファンから「死ね」と罵詈雑言を浴びせられたグリエーズマン

古巣アトレティコとの試合では大ブーイングを浴びたグリエーズマンだが、自身の決断は間違っていなかったと考えているようだ。 (C) Getty Images

 今夏にアトレティコ・マドリーからバルセロナへ移籍したアントワーヌ・グリエーズマン。だが、その決断はいまだ物議を醸し続けている。

 バルサ移籍が取り沙汰されていた昨夏、グリエーズマンは大々的に残留宣言をして2023年までの契約延長と大幅な年俸アップを勝ち取った。にもかかわらず、1年後にあっさりタイトルを争うライバルチームへと去ったことで、その決断を裏切り行為だとする声は小さくない。

 さらにグリエーズマンとバルサが、リーグタイトルを争っていた2月から水面下で交渉を進め、3月には合意に達していたものの、契約解除金が2億ユーロ(約250億円)から1億2000万ユーロ(約150億円)に下がる7月1日以降に移籍を発表したことも、アトレティコ側の逆鱗に触れた。

 事実、アトレティコ・サポーターは、かつてのエースに対して容赦のない反応を見せている。現地時間12月1日にワンダ・メトロポリターノで行なわれた直接対決では、グリエーズマンに対して、「死ね」などの罵詈雑言が飛び交ったことが確認されている。

 いまだ燻り続ける移籍騒動について、グリエーズマン本人が、その想いを打ち明けている。スペイン紙『Marca』の取材に応じたフランス代表FWは、「レアル・ソシエダからアトレティコに移籍してから5年が経過して、僕は景色を変える必要があったんだ」と退団を決断した理由を告白した。

「新しいスタイルや哲学を学ぶため、バルサに移籍したんだよ。優勝のため? いや、それは違う。もちろん勝てたら嬉しいけど、アトレティコにいてもラ・リーガやチャンピオンズ・リーグで優勝することはできる。新しいポジションやチームメイトを理解するのはとても刺激的で良いことだ」

 バルサ移籍後のグリエーズマンは、公式戦20試合で6ゴールと本領を発揮しきれてはいない。一部のメディアでは、チーム内で「獲得が失敗だったのではないか」という声が噴出しているとも指摘されている。だが、当人はそうした批判を一蹴するかのようにこう語っている。

「僕はとても内気な性格で、あまり他の選手と話をするのは得意ではない。でも、メッシやスアレスを見ながら学んでいるよ。きっと、時間が理解を深めてくれるだろう。僕は今、常にチームメイトたちと食事を共にしている。ピッチ外での時間は、きっと僕たちを助けてくれると思っているからね」

 果たして、グリエーズマンは、周囲からの批判の声を跳ね返すことができるのか。そのパフォーマンスには、今後も注目だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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