【日本代表】W杯を経て辿り着いた新境地 さらに逞しくなった長友佑都が日本を連覇に導く

2014年12月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

ワールドカップ後は現役生活に別れを告げることも頭をよぎった。

W杯後は精神的に落ち込みもしたが、新たな目標に向け長友は再び力強く歩み始めた。(C) SOCCER DIGEST

 今月23日、都内で行なわれた『長友佑都 体幹トレーニング20』の55万部突破記念イベント後の囲み取材で、著者が何度も口にした言葉が「楽しみたい」だった。
 
「とにかく、楽しみたい。"しなければいけない"ばかりでしたけど、それには限界があって、もっとサッカーを単純に楽しみたいです」
 
 日本が惨敗を喫したブラジル・ワールドカップ。サッカー人生のすべてを賭けていたと言ってもいい長友にとっても、ショッキングな出来事だったのは間違いない。
「燃え尽きた部分があったのかな、と」
 
 大会後、モチベーションがなかなか上がらず、目標や夢が見えてこない時期がしばらく続いた。「ネガティブな考えではなく」と断りを入れたうえで、「単純にサッカーが楽しくないのであれば、セカンドキャリアでやりたいこともありますし、そっちに移ってもいいかな」と思うこともあった。
 
 ワールドカップ後は怪我や体調不良も重なり、所属クラブのインテルでは思うようにピッチに立てないこともあった。ただ逆に、自分自身と向き合う時間ができた。そこで出した答が「楽しみたい」だった。
 
 極限まで自らを追い込み、プレッシャーをかけて、ブラジルのピッチに立った。そして、完膚なきまでに叩きのめされた。心はズタズタに切り裂かれただろう。現役生活に別れを告げることも頭をよぎったが、不屈の魂は再び、力強く鼓動している。イベントでは、自身のそっくり芸人の登場に笑顔を見せていた。「むしろ、良い精神状態ですね」。肩の力が抜け、つきものが落ちたかのように、心身ともに良好な状態であることをうかがわせた。
 
 翌日からの4日間は束の間の休息を満喫し、28日には、横浜市内にあるフットサルコート『NAGATOMO FIELD(ナガトモフィールド)』にて公開自主トレーニングを行ない、パーソナルトレーナーの木場克己氏とともに約1時間、汗を流した。居合わせた子どもたちからのエールに、柔和な笑みを浮かべて手を振ってみせる。
 
 同施設では、来年4月から『YUTO NAGATOMO Football Academy』を開校予定で(対象はU-6=年中からU-12=5・6年生で、同年3月上旬には入会者向けアカデミー無料体験会を開催予定。詳細は公式HPにて決定次第掲載。https://nagatomo-football-academy.com)、スクールの立ち上げに際し「7歳でサッカーを始めて、もう20年以上になります。何かサッカーで恩返しがしたくて、子どもたちの夢のサポートというか、僕がプロになって、海外でもプレーしてきたなかで学んだ部分を子どもたちに伝えていきたい」と意気込みを語った。
 
 連覇が懸かるアジアカップに向けては「2011年の時よりも厳しくなるかなと思っています。もちろん、日本はアジアの頂点にいるべきですし、それができるメンバーが揃っているはずです。そういった意味で優勝を目指したい」と言葉に力を込めた。

次ページ「チームのためにガムシャラに走る」。その気持ちは忘れない。

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