五輪世代のサバイバルとベネズエラ戦の追試に挑むA代表国内組…E-1選手権の注目点は?

2019年12月09日 元川悦子

ベネズエラ戦に先発した面々にとっては真価が問われる大会

ロシアW杯を経験している大島(左上)に、JリーグMVPを獲得した仲川(右上)。田川(左下)、橋岡(右下)らU-22世代にとってもサバイバルの意味を持つ大会だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 森保ジャパンとしての2019年最後の活動となるEAFF E-1選手権(韓国)が明日10日から開幕する。今年はアジアカップ(UAE)準優勝から始まり、2022年カタール・ワールドカップ・アジア2次予選、前半戦4連勝と公式戦ではある程度の結果を残したものの、主力固定が目立ち、チーム底上げの成果は乏しかったと言わざるを得ない。直近の11月のベネズエラ戦(大阪)で1-4の大敗を喫するなど先行きが不安視される状況だけに、東アジアのライバル国との真っ向勝負を制して、年内をいい形で締めくくることが重要だ。


 森保一監督が集合初日の8日に「A代表国内組とU-22世代の融合」を掲げた通り、今回はこれまで一緒に活動する機会の少なかった両者が一体感を持って戦うことがまずは求められる。6月のコパ・アメリカ(ブラジル)と似たようなチーム構成ではあるものの、あの時は準備期間がより長く、川島永嗣(ストラスブール)や岡崎慎司(ウエスカ)らベテランもいて融合が進みやすかった。今回、川島らの役割を果たさなければいけないのが、2017年のE-1選手権に参戦している大島僚太(川崎)や井手口陽介(G大阪)だろう。

 とりわけ大島は2018年ロシア・ワールドカップを経験した唯一のフィールドプレーヤー。その後はケガが重なり、代表活動に参加するチャンスは少なかったが、今回は紛れもなく主軸になるはず。ここまで森保監督に重用されてきた佐々木翔(広島)や三浦弦太(G大阪)、畠中槙之輔(横浜)、橋本拳人(FC東京)らとともに強固な結束を作り上げていく必要がある。

 佐々木や畠中、橋本、鈴木武蔵(札幌)らベネズエラ戦に先発した面々にしてみれば、今大会は真価が問われる部分が少なくない。球際や寄せ、対人のところで負け続けた先月の一戦と同じようなパフォーマンスを見せていたら、来年以降はU-22世代に取って代わられてしまう。それを回避するためにも、今回はA代表生き残りをかけて挑むしかない。

 今季Jリーグで出色の活躍を見せ、MVPと得点王をダブル受賞した仲川輝人(横浜)も大いに注目すべき存在。彼のポジションには堂安律(PSV)や久保建英(マジョルカ)らタレントがひしめくだけに、ここで傑出した存在価値を示すことが今後の代表定着に直結する。

「中国や韓国は体格的にも激しさでもJリーグ以上。そこで負けないように自分のプレーを出していかないといけない」と本人も意気込みを新たにする。初代表でいきなり10番という期待値の高さを結果につなげられれば理想的だ。

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