【セルジオ越後】外国人枠を最も“うまく”使ったマリノスがJ1制覇。MVPを挙げるとするなら…

2019年12月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

各チームの主軸が移籍や怪我で離脱していく中で…

個の能力の高さで敵アタッカーを封じ込んだチアゴ・マルチンス。貢献度の高さを越後氏も称えている。写真:徳原隆元

 2019年のJリーグは、マリノスの15年ぶりの優勝で幕を閉じたね。最終節に1位と2位の直接対決で優勝が決まるというシチュエーションは一見スリリングだったけど、実際のところマリノスが断然有利な状況だったし、試合も3-0でマリノスが完勝して、最後の最後で両者の勢いの差がはっきりと表われる結果になった。

 上位陣は最後まで接戦だったが、シーズン終盤にかけて何が明暗を分けたのか。やはりキャスティングの差、とりわけ外国人選手の質の差だったと思っているよ。これは先日、レッズがアル・ヒラルに完敗を喫したACL決勝でもそうだった。2年前の決勝でレッズに敗れていたアル・ヒラルは、ワールドクラスの選手を揃えてこの一戦に臨み、その結果はスコアと内容に明確に反映された。

 今季のJリーグは、シーズン途中で各チームの主軸選手が移籍や怪我でどんどん抜けていった。マリノスもFC東京も、そしてアントラーズも同じ。違いが生まれたのは、その後を埋めた外国人選手の質だ。マリノスはエリキやマテウスといった活きのいい20代半ばの選手たちを獲得してうまくチームに取り込んで戦力としたね。一方でFC東京は久保の穴を埋める選手はいなかったし、アントラーズもシーズン前から怪我で離脱していた鈴木の穴をよくカバーしていたけど、終盤戦は攻撃陣がブレーキで、2点以上取った試合がどれだけあったか。

 マリノスは今年から最大5人までに増えた外国人枠のルールを最もうまく使ったチームと言えるんじゃないかな。イニエスタやビジャのようなビッグネームはいないけど、チアゴ・マルチンスにしろ、マルコス・ジュニオールにしろ、どの選手もものすごくハードワークをこなして攻守両面でチームパフォーマンスを上げる貢献を見せていた。全盛期を過ぎてクールダウンの時期に差し掛かっている選手たちに比べたら、マリノスの外国人たちはまだまだ働き盛りで、野心やハングリーさという面でも上だったと思う。

 実績のある高価な選手がいいのか、ネームバリューはなくても攻守にしっかりと機能する選手がいいのか。リーグ戦で結果を出すという意味では、マリノスが最も効率のいい外国人枠の使い方をしていたということだね。
 

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