「話していることが分からない…」エメリと選手の関係性は崩壊していた。英紙がアーセナルの赤裸々な内部事情を明かす

2019年12月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

エメリを公然と小馬鹿にする選手も…

その経験とシステマチックな戦いぶりを評価されてアーセナルの指揮官に就任したエメリだったが、何よりも重要なコミュニケーションの部分で問題を抱えていたようだ。 (C) Getty Images

 現地時間11月29日、プレミアリーグのアーセナルは、スペイン人指揮官のウナイ・エメリを解任したことを正式に発表した。

 現在48歳のエメリは昨夏、22年に及ぶ長期政権を築いたアーセン・ヴェンゲルの後任として着任。1年目こそプレミアリーグで5位、ヨーロッパリーグ(EL)準優勝という成績を残したが、迎えた今シーズンは第13節を消化した時点で、CL出場圏内からは8ポイント差をつけられての8位とチームは低迷。周囲からは、批判の声が噴出していた。

 クラブ史上4番目に短い1年190日で解任されたエメリ。その指導者キャリアで3度のEL優勝経験を持つ実績十分の智将がアーセナルを追われたのは、個性豊かな選手たちを前任者のように束ねられなかったことにあるようだ。

 英紙『Evening Standard』は、「アーセナルの選手たちは、チームを掌握できなかったエメリを公然と小馬鹿にしていた」と伝え、チーム内での指揮官との関係性についてレポートしている。

 記事では、一部の選手たちがエメリのスペイン語訛りの片言の英語を大っぴらに馬鹿にし、さらに今シーズンから5人のチームキャプテンを据えたことについて、「俺たちのチームには一体何人のキャプテンがいると思う?」と皮肉っていたことが明らかにされている。

 エメリと選手の間にはコミュニケーションの部分でも小さくない問題があったようだ。同紙は、ユース出身のブカヨ・サカが「監督が自分に話をしようとしていることが分からない時がある。ユングベリ(アシスタントコーチ)のほうが良い話し合いができる」と発言していたとすっぱ抜いたうえで、その内情を赤裸々に明かしている。

「チームの関係者は、エメリがメッセージを伝えようとすることによって、会話が通常よりもはるかに長くなり、混乱を招いたと認めている。また、ある選手はエメリとの会話よりもヴェンゲルとのメールでのやりとりの方が多いことこぼしていた。その関係性は完全に欠如し、崩壊していたのだ」

 コミュニケーション不足によって職を追われたエメリの後任に暫定ながら就任したのは、アシスタントコーチを務めていたフレドリック・ユングベリ。現役時代にアーセナルでプレーし、ヴェンゲルの薫陶を受け、酸いも甘いも経験してきた、かつての名手は、あらゆることを掌握している名門をいかに立て直すだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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