1月1日の移籍市場再開を前に! 欧州メガクラブの「強化部門」実力診断|パリ・サンジェルマン編

2014年12月29日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

それなりの戦略に基づいた人選は、一定の評価に値する。

パリSGの最大の強みが資金力だとすれば、弱みは目先の強化に重きを置くあまり、中・長期的な視点が欠けている点だ。 (C) Getty Images

 欧州の移籍マーケットが1月1日に再オープンする。
 
 補強の構想を描き、ターゲットを絞り込み、交渉を進め、移籍オペレーションをまとめ上げるのが、各クラブの「強化部門」だ。いわばフットボールクラブの命運を握る重要なその強化部門、では、どのクラブのそれが優れているのか?
 
 当サイトの連載コラムでもお馴染み、移籍市場を専門にカバーする記者で、各クラブの事情に通じるジャンルカ・ディ・マルツィオ記者が、メガクラブの「強化部門」を診断した!
 
※ワールドサッカーダイジェスト2014.12.18号より
 
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 カタール資本の投資会社『QSI(カタール・スポーツ・インベストメンツ)』がクラブの経営権を手にした2011年夏以降、それ以前には到底考えられなかったワールドクラスを次々と獲得。わずか数年の間にチャンピオンズ・リーグで頂点を争えるだけのチームを築き上げた。
 
 豊富な資金力にモノを言わせた部分はもちろんあるが(年俸の高さは常軌を逸している)、それなりの戦略に基づいた人選は、一定の評価に値する。
 
 強化部門を取り仕切っていたレオナルドSDが昨年7月に審判への暴行により長期の資格停止処分を受けて辞任した後、強化責任者の座は空位のままで、移籍交渉はアル・ケライフィ会長が自ら当たっている。
 
 もっとも、これは建前上の話というのがもっぱらの噂。後任を置かずにここまできた最大の理由は、レオナルドが外部から実質的なSDの役割を果たしているからという説がある。数多くのビッグディールを成立させてきたこのブラジル人は今もクラブ首脳陣と密接な関係を保っており、影の存在として助言を送り続けているというわけだ。
 
 最大の強みが資金力だとすれば、弱みは目先の強化に重きを置くあまり、中・長期的な視点が欠けている点だ。
 
 今夏に下部組織の逸材コマンを移籍金ゼロでユベントスに奪われ、同じく生え抜きのラビオにも逃げられそうになった事実がすべてを物語る。ラビオには相場の2倍以上の年俸を提示して契約を延長し、なんとか慰留に漕ぎ着けたものの、若手の育成や抜擢に注力しているトップクラブならば、こうした事態は起こりえなかった。
 
 手元に将来性豊かなタレントがいるにもかかわらず、彼らを育てるよりも即戦力のトッププレーヤーの獲得を重視するなど、ありえない話だ。
 
【判定】(まずまず)
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
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