1月1日の移籍市場再開を前に! 欧州メガクラブの「強化部門」実力診断|リバプール編

2014年12月29日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

計画性よりも目先の状況に振り回された拙速な振る舞いが目立つ。

先を見据えて計画的に動く体制がまだ確立されていないリバプール。それでも、向こう数年間で大きく伸びるポテンシャルは秘めている。 (C) Getty Images

 欧州の移籍マーケットが1月1日に再オープンする。
 
 補強の構想を描き、ターゲットを絞り込み、交渉を進め、移籍オペレーションをまとめ上げるのが、各クラブの「強化部門」だ。いわばフットボールクラブの命運を握る重要なその強化部門、では、どのクラブのそれが優れているのか?
 
 当サイトの連載コラムでもお馴染み、移籍市場を専門にカバーする記者で、各クラブの事情に通じるジャンルカ・ディ・マルツィオ記者が、メガクラブの「強化部門」を診断した!
 
※ワールドサッカーダイジェスト2014.12.18号より
 
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 ピッチ上だけではなく、移籍市場においてもアグレッシブな姿勢を見せ、狙ったターゲットを力ずくで奪っていく近年の成長株だ。
 
 典型的なのは、2年前にマンチェスター・Cからスカウティング責任者バリー・ハンターを引き抜いたこと。イングランドのクラブ間で、マネジメント部門はともかく強化部門ではそれまで、これほど露骨な引き抜きはなかった。「シティと比べて若手の発掘や育成で重要な仕事ができる」と誘いをかけ、ヘッドハンティングに成功したのだ。
 
 ただし、トップチームの強化に関しては、計画性よりも目先の状況に振り回された拙速な振る舞いが目立つ。例えば、今夏のバロテッリ獲得がそのひとつ。スアレスの放出が確実になった時点で、その後釜について目星をつけておくべきだったにもかかわらず、夏のマーケット終盤まで獲得の目処すら立たず、突然降って湧いたバロテッリ獲得話にすがりついたのだ。
 
 補強戦略においては、先を見据えて計画的に動く体制がまだ確立されていないということだ。
 
 ロジャース監督の就任以来、いわゆるフットボールディレクターを置かず、イアン・エアCEOとロジャース監督、そしてスカウティングスタッフの合議制で強化戦略を策定している。
 
 資金力を含めて交渉のカードは持っているだけに、より計画的かつ戦略的に動けるようになれば、向こう数年間で大きく伸びるポテンシャルを秘めている。
 
【判定】(優秀)
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
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