ACL決勝で「コテンパンにやられた」浦和。槙野智章が考える立ち直るために必要な強化とは?

2019年11月25日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

真っ赤な大サポーターも押し黙るほどの差が…

守備での奮闘も実らずに屈辱的な敗戦を味わった槙野。試合後には冷静にチームを分析した。 写真:徳原隆元

 2度のアジア王者に輝いた赤きイレブンの姿は、そこにはなかった。

 11月24日に埼玉スタジアムで行なわれたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝の第2レグで、浦和レッズはアル・ヒラル(サウジアラビア)に0-2と敗戦。2戦合計0-3と敗れ、2シーズンぶり3度目の戴冠を逃した。

 スコア通りの完敗だった。前半こそ前掛かりに仕掛け、幾度かチャンスを作って、逆転勝利を期待させたが、0-0で折り返した後半はアル・ヒラルがギアを上げたことで、浦和は押し込まれ、次第に球際でも圧倒されるようになる。74分にサレム・アルドゥサリに先制ゴールを決められると、後半アディショナルタイム3分にはバフェティンビ・ゴミスにダメ押し点を許し、万事休した。

 2年前の決勝でも対戦していたアル・ヒラルだったが、彼らは着実に力を付け、個の能力でも、組織力でも、浦和を圧倒し続けた。その力の差は、スタジアムの9割方を真っ赤に染め上げたホームサポーターたちが、タイムアップの瞬間に押し黙ってしまったことが何よりも物語っていた。

 では、ピッチ上で選手たちはどう感じていたのか。「久々にコテンパンにやられてしまったなという印象です」と冷静に分析したのは、前日の取材で、「厳しい試合を幾度となくこなしてきた自信と経験が自分たちを奮い立たせてくれると思う」と語っていたディフェンスリーダーの槙野智章だ。

「第1戦をやってみて、しっかり時間もあったなかで、トレーニングでも、ビデオでも、自分たちがやるべきことをしっかりと準備をしてきました。それで今日を迎えて、出すものはしっかりと出しました。

 サッカーの勝ち負けの中では色々と運も必要になってくると思いますけど、今日はやっぱり技術とフィジカルの部分でかなり上回られてしまった。このACLで数多くのチームとやってきたなかで、なかなかそういうことはなかったんですけど、久しぶりにコテンパンにやられてしまったなという印象ですね」

 左サイドで浦和の攻撃の起点となっていた関根貴大の守備の負担を軽減させるために、背後で奔走していた槙野だったが、鋭い仕掛けを頻繁に繰り出したアル・ヒラルのセバスティアン・ジョビンコとアンドレ・カリージョの両助っ人を食い止めきれなかった。

 圧倒的な個の力を目の前で見せつけられたベテランDFは、これからの浦和に必要なポイントを口にした。

「チームの底上げの部分でいえば、2年前から出ているメンバーのなかで、30代オーバーが積み上げてきたものと新しい力の融合というところで、向こう(アル・ヒラル)の方が上手くできていたかなと思います。チームとして、外国籍選手の枠っていうのを上手く使って、強化していく必要性が今後あるのかなと思いますね」

 今年5月にオズワルド・オリベイラ監督を更迭し、J1では残留争いを余儀なくされるなど、今シーズンを振り返れば、チームのまとまりが欠けていた感が否めなかった浦和。それでも、なんとか辿り着いた世界進出を懸けた檜舞台で、歴然とした力の差を見せつけられたのは、もはや必然と言うべきか。この敗戦から立ち直るには、相当な覚悟と時間を要しそうだ。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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