悩ましい「中島翔哉の活用法」。日本代表は「背番号10優遇」のシステム変更も考慮すべきだ

2019年11月22日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

4-4-2の左サイドハーフは難しい。

中島の活用法は森保ジャパンの課題のひとつ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表の悩みどころのひとつが、中島翔哉の活用法だろう。
 
 1-4で大敗した11月19日のベネズエラ戦でこのナンバー10は、個の力で対抗できた唯一のアタッカーだった。所属するポルトで控えに甘んじる関係もあり、コンディションやプレー感覚はベストとは言い難かったが、随所で持ち前のテクニックや創造性、縦の推進力を発揮。『OPTA』によれば、タッチ(82)、シュート(6)、クロス(9)、デュエル(21)、ドリブル(5)、敵陣ペナルティーエリア(7)、被ファウル(8)のすべてが、いずれも両チーム最多だった。
 
 その一方で、トリッキーなヒールパスや狙い過ぎの横パス、強引なドリブルなどに失敗し、不用意なボールロストが相変わらず目立ったのも事実。これが敵陣の深い位置ならともかく、ピッチ中央付近や自陣でやられると、言うまでもなく敵のカウンターを食らいやすい。ベネズエラ戦でも何度かそんなシーンがあった。
 
 また本人は、帰陣が遅れて失点したコパ・アメリカでの反省からいつも以上に守備意識を高く持っていたようだが、根本的にはディフェンスが得意な選手では決してない。体格(167cm・62kg)を考えても、守備時に最終ラインの手前まで戻すメリットはほとんどない。
 
 そう考えると、森保一監督がこれまで中島を置いてきた4-4-2(4-4-1-1)の左サイドハーフは、ベストポジションとは言い難いだろう。このポジションでまず求められるのは攻守のバランスであり、中島の場合は攻撃面に目盛りが振りすぎている。格下相手のワールドカップ2次予選はともかく、最終予選やワールドカップ本大会では通用するか甚だ疑問だ。
 
 ただ、中島は南野拓実、原口元気、久保建英、堂安律、伊東純也という2列目のタレントの中で、現時点では個の打開力がもっとも高い。背番号10を与えているのは森保監督や協会の期待の表われだろう。ポジションやシステムの修正を含めて、活用法をもちろん探るべきだ。
 
 中島が最も輝ける形は、左のパーフスペースからのドリブルやワンツー、スルーパスなどによる仕掛け。4-4-2(4-4-1-1)の左サイドハーフに置いても、サイドに張るよりは中央に絞り、左ハーフスペースでまず足下にボールを収め、そこから仕掛けようとする傾向が強い。逆足(左サイドにいる右利き)なこと、そしてそれが自分の最も得意な形だからだろう。
 

次ページ最適なのは4-3-3の左ウイングだ。

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