【岩政大樹】基準が見えない森保ジャパン。2019年に喫した3つの大敗には共通点がある

2019年11月20日 岩政大樹

攻守における明確な基準をチームが持っていない

この中島翔哉中心のチーム作りをするのか?何らかの制約を求めるのか、判断が迫られる。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 若手の台頭で成長著しいベネズエラ代表になす術のない前半を過ごしてしまった日本代表は、まさかの4失点。後半に1点を返したものの、完敗と言っていい敗戦となりました。

 ベストメンバーに近い形で入ってきたベネズエラ代表に対し、日本代表はキルギス戦から大幅にメンバーを変更。連係面でのエクスキューズがあったのは間違いありません。しかし、森保ジャパンになってから続く問題が解消されていない印象を残したのもまた事実です。

 2019年は3つの大敗がありました。アジアカップ決勝の1−3(対カタール)、コパ・アメリカ初戦の0−4(チリ戦)、そして昨日の1−4(対ベネズエラ)です。

 2月、6月、そして11月と飛び飛びで起こっている現象なので、うやむやになっている部分がありますが、それらの試合を思い浮かべると、やはり攻守における明確な基準をチームが持っていないように見えてしまうのです。それは決してその3試合だけで起こった現象ではなく、選手たちのプレーぶりはさほど変わりません。基準の不明瞭さ自体は快勝した試合でも同様に見られていて、ここの提示をいつまで先延ばしにしていくのか。あるいは、もう提示はされているのかもしれませんが、それならその落とし込みはいつになったらできるのか。もう思っているより勝負所までの時間は残されていません。

 例えば、1失点目です。ペナルティエリア脇で18番ソテルド選手のドリブルに対応した室屋成選手は、横に橋本拳人選手がサポートにいながら縦に相手を誘導してクロスを上げられましたが、チームとしての判断基準はそれで良かったのか。

 例えば、3失点目。クロスを上げられる際に、佐々木翔選手と畠中槙之輔選手は人に対するマークの意識もボールに対する反応も後手に回りましたが、チームとしてのゴール前の守り方は?

 局面局面の守備対応の原則からして不可解な対応が見られた場面もあります。すべての問題を"チーム"に帰結させるつもりはないのですが、ただ、試合全体を通して、選手たちが"人(相手)"から見るのか"ボール(スペース)"から消しにいくのか。そして、それは一貫したものなのか。エリアやケースで変わるものなのか。変わるならいつ、どのような時なのか。そうした基準が明確には見えずじまいでした。

次ページチーム作りの成否を問う前に…

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