清水で突きつけられた昇格NGをバネに…“サッカー小僧”榊原杏太が名古屋U-18を王者に導くまで

2019年11月18日 竹中玲央奈

チームのサッカーを体現して得たJユースカップMVP

名古屋U-18をJユースカップ優勝に導き、MVPに輝いた榊原。持ち前のドリブルワークで先制点につなげた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 圧倒的な強さで走り続けてきた名古屋U-18が、またもその記録を伸ばした。

 6月2日に行なわれたクラブユース予選のジュビロ磐田戦からこれまでの公式戦全てで無敗。夏のクラブユース選手権でもその強さを見せつけ頂点に立った"若鯱"がJユースカップも制し、二冠を達成した。

 プレミアWESTの1位・2位対決となったこのカードで、まず流れを掴んだのはG大阪ユース。U-22代表である食野亮太郎の弟・食野壮磨を中心に中盤の小気味良いパスワークで名古屋守備陣の穴を突いていきゴールを脅かす。入りに失敗した名古屋であったが、その中でもチームが掲げる"最短最速"でゴールを目指しフィニッシュまで持ち込むシーンを作っていった。

 そして31分、相手のパスミスを奪った榊原杏太がスピード感ある無駄のないタッチでボックス内へ侵入しPKを獲得。これを自ら沈めて名古屋が先手を取る。さらに前半終了間際で追加点を奪うと、後半終了間際にも2発を打ち込み、4−0の大差を付けて頂点の座を手にした。

 G大阪は終始押し気味に展開をしていったが、最後の場面で相手にとって危険なスペースへ潜り込んでいくプレーがやや少なかったか。守護神・駒井幸弘も「最後のシュートの質や入っていくところ。もうひとつ入っていってほしかった」と口にする。

 9本の差が出たシュート数もそうだが、ボールを保持する時間も、おそらくはG大阪ユースが上回っていただろう。だがこの結果が出た理由は何を隠そう、名古屋U-18の選手一人ひとりがゴールへの最短距離を瞬時に測って、そのルートへ恐れず侵入していったからだ。

 決勝戦までの6試合で23回相手のネットを揺らした名古屋攻撃陣の強みはまさにここにあるのだが、それを象徴するのが今大会のMVPに輝いた名古屋U-18の榊原杏太である。
 

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