【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「アジアカップ期間中の本田の穴を埋める方法を考えてみよう」

2014年12月24日 マルコ・パソット

ややトーンダウンした現在でも本田はミラン抜きに機能しない。

ようやくアバーテが復帰してくるが、本田との息の合った縦ラインの連係も、(最長で)2月まで見ることができない。 (C) Alberto LINGRIA

 アドリアーノ・ガッリアーニ副会長が恐れていた"その時"がついに来てしまった。
 
 先週土曜日のローマ戦を最後に、本田圭佑がアジアカップ出場のため、ミランを離れてしまったのだ。次に本田が戻ってくるのは、年も改まった2月になる。
 
 ここでもう一度、ガッリーニ副会長が発した、かの有名なコメントを思い出してみよう。
 
「この1月にミランに送り込まれてきたのは、本田によく似た弟だった。そこでクレームをつけたら、今度はやっと皆が知る本物が届いた。というのは冗談だが、本田は今やミランにとって非常に重要な選手だ。今のチームの礎ともなる存在であり、そのテクニックはスーパー級だ」
 
「彼が来年の1月に、1か月もチームを離れなければならないことを考えると、今から暗澹とした気持ちになる」
 
 10月初旬、本田がゴールにアシスト、守備と大車輪の活躍を見せていた頃のことで、ミランはやっと、自分たちにとって必要な選手を手に入れた感じだった。ただ、本田の快進撃はその後、6ゴールを決めたところで止まってしまっており、全てがこの数週間のうちに集中していたという感じだ。
 
 現在はトーンダウンが否めず、先週末のローマ戦でもそれは同じだった。それでもガッリアーニ副会長は以前と同様、本田の抜けた穴は大きいと嘆く。
 
 そしておそらく、フィリッポ・インザーギ監督も同じ気持ちのはずだ。ただ監督の場合、副会長同様に嘆きを安易に口にすることはできない。監督がある特定の選手への感情を語るのは、出場機会にあまり恵まれていない選手たちに対して配慮を欠く行為であり、代わりにプレーすることになる選手にとって決して気持ちのいいものではない。
 
 とはいえ、本田が以前に比べれば低調だとはいえ、彼が大事な選手であることには変わりない。やっと安定してきたチームから基礎となる選手が抜けることは、現場の責任者にとって非常に頭の痛い話だろう。ローマ戦の後、インザーギ監督のテクニカルスタッフのひとりが、そっと私に漏らした。
 
「そう、確かにケイスケの調子は落ちた。しかし、すでにミランのメカニズムは、彼なしでは動かないかたちで固まっている。短い時間でケイスケの代わりを探すのは、難しいだろう」
 
 では、これからのミランはどうなるのか? チームは間もなく、ドバイでの冬期キャンプに入るが、インザーギは右サイドからの攻撃をどうするかを慎重に考えなくてはいけない。
 
 せっかく右SBのイグナツィオ・アバーテが怪我から戻ってきても、彼の前に本田はいない。「アバーテ―本田」の右サイドの連携プレーは、シーズン最初の2か月間、ミランで最も機能していたメカニズムだっただけに残念である。アバーテは本田の代わりを務める選手と、新たな関係を一から築かなければならない。
 
 さて、本田の抜けた穴を埋める方法だが、まずは手持ちの駒だけでの解決を考えてみよう。最も現実的で納得のいくやり方は、今左サイドでプレーしているジャコモ・ボナベントゥーラを右に移すことである。ボナベントゥーラはジョーカーとも言えるオールマイティーな選手で、3トップの両サイドどちらでも、さらにはセンターでもプレーすることができる。
 
 最近の数試合では、ステファン・エル・シャーラウィーのポジション(左サイド)に入ってプレーし、良い活躍を見せている。適応力があり、正確で、適度な"悪辣さ"も持ち合わせている。自らを犠牲にしてチームプレーにも貢献できるが、同時に自分で敵を脅かすこともできるという意味だ。
 
 手持ちのカードの中に、ボナベントゥーラのようなジョーカーがあることは、インザーギ監督にとっては幸運である。

次ページ現有戦力で代役を探すか、不利なメルカートに活路を見出すか。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事