【岡山】J1への道はほぼ閉ざされ…「そういう日常が出てしまった」と喜山康平が悔やんだこと

2019年11月17日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「最後、シーズンをどう終わらせるかが大事」

赤嶺(写真)の惜しいヘディングシュートなど、岡山はホーム最終戦となる横浜FC戦でいくつもの決定機を作ったが決め切れず。0-1の敗戦を喫し、J1昇格の可能性は事実上消滅した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J2第41節]岡山0-1横浜FC/11月16日/Cスタ

 ミックスゾーンに現われた喜山康平に声をかけると、この岡山のボランチは急にしゃがんで、何かを拾った。

 ゴミだ。通路に落ちている紙屑か何かを拾った。周囲の目を意識したアピールとは違う。何人もの選手がそこを通過していたはずだが、喜山だけは足を止めて、とても自然な振る舞いでスタジアムを清掃する。さもそれが当然のごとく。

 身をかがめて、すっと立ち上がり、記者に正対するその表情は、だが落胆の色を帯びていた。ホームで41節・横浜FC戦に0-1で敗れ、最終節を前にチームは勝点65の9位。プレーオフ圏内の6位甲府とは勝点3差で、J1昇格をかけたトーナメント進出の可能性は残されているが、得失点差は19。その差をひっくり返すのは……現実的ではないかもしれない。

 横浜FC戦の黒星は痛恨だった。せめて引き分けに持ち込みたかった。24分にミスから自陣でボールを奪われると、そのまま攻め込まれて失点。1点ビハインドで迎えた後半は、攻撃の強度を上げて相手ゴールに何度も迫った。ポストを叩く惜しいシーンが2度あった。ゴールラインぎりぎりで防がれた際どいシュートも放ったが、いずれも決め切ることができず、タイムアップの笛を聞いた。

 決定機の数は間違いなく岡山のほうが多かった。後半の猛攻も迫力十分で、トータルで見れば内容で上回っていたはずだが、ひとつの勝点も上積みできなかった。

「ひとつ入れば、流れはもっとこっちに来たのではないかな、という展開だったと思います」

 そう試合を振り返る喜山だが、結果的に昇格への道がほぼ閉ざされてしまった現状を次のように見る。

「前半にああいうミスから失点してしまうのが、今のうちの実力というか。J1のチームだったり、昇格にふさわしいチームは、ああいう隙は絶対に逃さない。そういうところが、やっぱり……。それは今日の試合に限らずですけど。もちろん自分も含めて、練習でもミスが少なくないので。そういう日常がそのまま出てしまったのかなと感じています」
 
 攻撃面についても、改善点を口にする。

「最後のクオリティ、攻め切るところでも、もう少し前半からチャンスは作れたと思う。後半はサイドを起点に攻めることができたけど、前半から、僕が運んだ時、間だったりサイドでは数的優位が作れていたので。そこで焦れないでボールを回しながら、攻める回数を増やせたはず。外を使いながら中で、とか」

 横浜FCとの一戦は、今季のホーム最終戦だった。スタジアムには17,288人もの観客が詰めかけた。「サポーターはやれることをやってくれて、良い雰囲気を作ってくれた」と喜山は感謝を口にする一方で、「それに応えられなかった」と悔しさを滲ませる。

 悲願のJ1昇格を成し遂げるためには、何が必要か。課題はいくつもあるはずだが、喜山は「練習のレベルをもっと上げないと」と繰り返す。結局は、不断の努力が最終的な結果に表われる。そのためには日々の練習から高い意識で取り組むことの重要性を強調する。

 さらなる高みを目指すために、応援してくれるファン・サポーターの期待に応えるためにも、下を向いている暇はない。

「最後、シーズンをどう終わらせるかが大事。気持ちを切らすのは簡単。あと1週間。しっかりやりたい」

 最終節は11月24日のアウェーの水戸戦。4試合ぶりの勝利でシーズンを締めくくり、来季への戦いにつなげたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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