東京五輪の「18枠」を巡るなでしこジャパンの熾烈な争い! 南アフリカ戦で序列に変動は?

2019年11月11日 西森彰

高倉麻子監督のジャッジは…

今夏のワールドカップでは選外だった猶本光。79分から交代でピッチに立つも……。写真:早草紀子

 11月10日、北九州スタジアムで南アフリカ女子代表と戦ったなでしこジャパンは、10月のカナダ戦に続いて勝利を収めた。その序列に大きな変化はあったのか――。結論から言えば、女子ワールドカップ組優位の構図は変わっていない。

 この試合、女子ワールドカップ不出場組で唯一先発に起用されたのは、A代表2試合目のDF土光真代だった。

 代表で100試合を超えるキャリアを誇るDFの熊谷紗希(リヨン/フランス)、そして所属する日テレ・ベレーザの僚友たちに囲まれた土光は、もう一歩でまだ代表で得点がなかったキャプテンを差し置いて、ゴールを奪うかという場面を作った(最終的には、土光のシュートのこぼれ球から熊谷の代表初ゴールが生まれた)。また、守備面では、南アフリカ女子代表のエース、クレツィナー・クガトラナを封じ込めゴールを与えなかった。

 自己採点は「フリーの場面で、もう少しドリブルで持ち上がって、1枚でも2枚でも相手を引き付け、前を助けるプレーをしたかった」とのこと。攻撃へ関与できず、ゴールが少なかった部分に責任を感じるあたりは、女子ワールドカップのアルゼンチン戦で奮闘した、南萌華(浦和レッズレディース)を思わせた。

 この活躍にも、「土光に関しては守備に対する集中力は、最後まで切れなかったと思いますし、フィードの部分でも、工夫をしてプレーをしようという意図はあったので、及第点」しかつかないのだから、高倉麻子監督のジャッジは厳しい。

「複数ポジション」というテーマに挑戦した遠藤純、宮川麻都(以上日テレ・ベレーザ)も、無難に任務をこなしたかに見えたが、指揮官の設定したハードルは、一段も二段も上。左サイドバックにチャレンジした遠藤は、「前目のところでいいプレーをしようというチャレンジはしていましたが、攻撃ではクロスやシュートの部分で、まだまだ努力が必要」との評価だった。

「試合に出られるならどこでも」と意気込む宮川についても、「ユーティリティーの高い選手で、ソツなくプレーしていた。前半は少しこぼれ球を拾い切れない場面もあったので、試合の中でそういうところを修正できる選手になっていってほしい」と注文がついた。

 試運転段階では十分なデキにも見えたが、指揮官は「緊急時のオプション」ではなく、「ひとつの選択肢」になり得るよう、求めている。

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