「ブラジルでの悔しさは忘れない」AZ菅原由勢がオランダの地で示した、東京五輪への並々ならぬ思い【現地発】

2019年11月09日 了戒美子

「年齢は関係ない」

今夏に移籍したAZで奮闘中の菅原。ELではマンチェスター・Uとも対戦した。(C)Getty Images

 10月のインターナショナルウィークに行なわれた、U-22日本代表のブラジル遠征。オランダのAZでプレーする菅原由勢は、初めて東京五輪を戦うこのチームに招集された。

 だが、その意気込みとは裏腹に出場機会はわずかだった。10日に行なわれたサンパウロFCのU‐20チームとの一戦では後半開始から、そして3−2と劇的な勝利を飾った4日後のU-22ブラジル代表とのゲームでは87分からの出場。悔しさだけが残った。

 遠征から戻った直後のヘーレンフェーン戦では出番がなく、翌週のヨーロッパリーグ(EL)アスタナ戦もゴールを決めたとはいえ、71分からの途中出場。そのアスタナ戦後、試合について質問したにもかかわらず、菅原はブラジル遠征の話を切り出した。

「得点は気持ちいいですけど、まぁ、なんというか、アンダー22で出場時間が確保できなくて、悔しい思いをして帰ってきて……。それからすぐの試合でも出場時間がなくて、自分の中にもやもやした気持ちがあったなかで、この試合に懸けていました」

 その悔しさとモチベーションが好機を呼び寄せた。

「絶対にチャンスが来ると思って調整してました。ベンチにいる時も自分が入った時のために相手を観察して、自分が入ったら相手を突こうとか、ずっと見てて、ゴールシーンも絶対にあそこで点が取れるという、思ってた通りのプレーできた。この試合に懸ける思いを結果で表現することができてよかったです」

 出番が少なく悔しさも味わったが、U-22代表では持ち味を発揮する場面もあった。
 
「出場時間は短かったんですけど、自分のプレーを出せる時もありました。与えられた時間の中で、もう少しやらなければいけなかったなという悔しい思いもあるので、そこをやはり、チームでの結果が全てだと思って、頑張ろうと。本当にあの悔しい経験を忘れないように」

 そして、現時点での最大の目標への思いが、自然と口をついてくる。

「やっぱり東京五輪。全員が注目してると思うので、そこに出られるように」

 2000年生まれの菅原は、東京五輪世代でも年下の部類に入るし、前述したように代表選出はこの10月が初めてだった。だが、思いは強い。

「年齢は関係ないと思っているので。誰が入ってもおかしくないと思ってる」
 

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