夏冬連覇へ桐光学園が苦難のリスタート。U-17W杯参戦中の西川潤を擁する総体王者の現在地とは?

2019年11月02日 松尾祐希

昨年に続きインターハイ後に失速。“打倒・桐光学園”を掲げて向かってくるライバルたち

現在、U-17W杯に参戦している西川(中央)。桐光学園の攻撃の大黒柱だ。写真:松尾祐希

 沖縄の地でインターハイ(高校総体)優勝の大旗を掲げてから早3か月。夏冬通じて初の日本一を勝ち取った桐光学園が、冬の選手権に向けて再スタートを切っている。

 中村俊輔を擁しても成し遂げられなかった全国制覇――。歴史を塗り替えた選手たちの次なる目標は言うまでもない、冬の檜舞台での優勝だ。ただ、夏以降の歩みを振り返ってみると、決して順風満帆な航海ではなかった。

「夏以降、リーグ戦ではあまり勝てていない。それが今の状況。怪我人が多いのもあるけど、対戦相手がうちに全力で向かってくるので、そこを迎え撃つのか、うちがそこに対して飛び込んで行くのか。高校生なのでメンタル的に難しい面はあるし、選手も(プレッシャーに)過敏になっているところはある」

 こう話すのはチームを率いる鈴木勝大監督だ。夏以降チームは苦戦を強いられ、インターハイ以降の神奈川県リーグ1部の戦績は2勝3敗。Jリーグの下部組織である湘南ベルマーレU-18に0-1で敗戦し、県下のライバルである桐蔭学園に2-3、横浜創英に2-4で苦汁を嘗めた。一言で言えば追われるチームの難しさ。夏に全国優勝したとなれば、どのチームも"打倒・桐光学園"を掲げて向かってくる。そうしたプレッシャーと戦いながら、相手を跳ね返していくのは簡単ではなかった。
「去年もインターハイを準優勝した後のリーグ戦で失速しました。去年も試合に出ていて自分も結果を出した後の難しさを理解していたので、二の舞になってはいけないのも分かっていたし、監督から気を引き締めなさいと言われていた。だけど、苦戦してしまって、自分たちでチームの状況を悪くしたんです」

 昨季からレギュラーを務める佐々木ムライヨセフが話す通り、夏以降のチームは少し難しい時期に入ってしまった。とりわけ、今年の3年生は波に乗ると手を付けられない一方で、上手くいかないと負のスパイラルにハマりやすい傾向にある。

「1回乗ってしまえば良いけど、ちょっと落ちてしまうと、取り戻すのが難しい世代」(神田)
 こうしたプレッシャーを感じながら、夏以降は常に模索をしながら戦ってきた。

 加えて、離脱者が多くなった点も状況をより難しくした。

「夏以降、怪我人の多い状態が続いている。U-17日本代表に招集されている西川も含めて、選手が入れ替わり立ち替わりの状態だった」

 指揮官が明かした通り、インターハイ以降はなかなか選手を揃えられない戦いを余儀なくされた。主力組に負傷者が続出。加えて、C大阪入団内定で5月のU-20ワールドカップに飛び級で出場した西川潤も、10月下旬に開幕したU-17ワールドカップに挑む日本代表の活動に参加した影響でチームをしばしば離れてしまう。そうした状況も重なって、なかなか歯車が噛み合わなかった。
 

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