「NZで子どもに一番人気のあるスポーツはサッカーです」元Jリーガーが明かしたラグビーを選ばなかったワケと日本への想い

2019年10月27日 佐々木裕介

「ニュージーランドで子どもに一番人気のあるスポーツは今も昔もサッカーなんです」

現在はタイでプレーする元Jリーガーのヴィンセント・ケイン。C大阪や鳥取などに在籍した。写真:佐々木裕介

 ラグビー日本代表の快進撃で、季節外れの桜一色となった日本列島。"4年に一度じゃない。一生に一度だ。"という公式キャッチコピーにも触発された筆者もご多分に漏れず、ラグビーの素晴らしさを感じる機会となったことは言うまでもない。

 そして今回、また違った立場でラグビーワールドカップ日本大会を楽しんでいる"サッカー選手"がタイにいる。ニュージーランド人の元Jリーガー、ヴィンセント・ケイン、30歳だ。

"新日ハーフ"ストライカーは、ラグビーを国技とする国で生まれたにもかかわらず、サッカーを選んだ。何故なのか。バンコクで彼の生い立ちや思いを聞かせてもらった。

――◆――◆――

――"ラグビー大国"ニュージーランド(以下、NZ)で、サッカーの立ち位置ってどのようなものなのですか?

「NZでは、男子も女子も、学校の体育の授業でラグビーをやるのですが、今も昔も子どもたちに一番人気があるスポーツはサッカーなんですよ。意外でしょう?(笑)」

――それは確かに驚きですね。ケイン選手も幼少期からサッカーをやっていたのですか?

「はい。でも夏はテニスと水泳、冬はサッカーとラグビーを掛け持ちでやっていました。あと柔道もね、父が柔道選手だったので」

――その中から何故サッカーを選び"生業"とされたのでしょうか?

「転機は12歳の時でした。当時、サッカー・ラグビー・テニス、それぞれでU-13オークランド代表(人口の約1/4強が居住するNZ最大都市の地域代表)に選ばれていたんです。その中でサッカーだけはU-13ニュージーランド代表にも選ばれて忙しくなってきて。季節が被るサッカーとラグビー、どちらか選ばなくてはならなくなったのが理由です。ラグビーは身体の大きさが絶対に大事、でも当時の私はすごく小さくて、将来的に身体が大きくなるかどうかなんて分からなかった。それがラグビーを続けるには不安要素となり、サッカーを選びました。16歳まではテニスを並行して、でもチームスポーツの方が楽しかったからね。父はテニス選手になって欲しくて私に投資してくれていたので、サッカーを選んだ時には相当ショックを受けていたことを覚えています。当時はサッカーよりもテニスの方が上手かったしね(笑)」
 

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