【セルジオ越後】スリル満点のルヴァン杯決勝戦。2得点の小林やMVP新井よりも称えたいのは…

2019年10月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

初優勝のフロンターレも一発勝負の怖さを思い知らされた

5度目のファイナル挑戦でついに初優勝を果たした川崎。粘る札幌をPK戦で振り切った。写真:田中研治

 ルヴァンカップ決勝はフロンターレに軍配が上がったけど、本当に最後まで流れが行ったり来たりの白熱したシーソーゲームだったね。3-3となった120分間の戦いはもとより、PK戦もコンサドーレがあと一歩まで追い詰めながら、フロンターレが土壇場でGK新井のふたつのビッグセーブで息を吹き返して逆転するというスリル満点の展開だった。観ている方には十分に楽しめるドラマチックな試合だったよ。

 地力としてはフロンターレのほうが上だったけど、前半の立ち上がりはコンサドーレに勢いがあった。その流れのままに先制したところまでは良かったけど、そこから少しペースダウンして引いてしまった。フロンターレ相手にあの時間から引いて守り切るのはやっぱり難しい。前後半の終盤にそれぞれ1点ずつ取られて、勝ち越しゴールが決まった時にはこのままフロンターレで決まりかなと思ったほどだ。

 ただ、フロンターレも一発勝負の怖さを思い知らされたよね。土壇場でセットプレーから追いつかれ、さらに延長に入って再びセットプレーで勝ち越しゴールを許してしまう。しかも谷口が一発退場となってしまった。

 ひとり少なくなってそのままコンサドーレに行きかねない流れを、フロンターレもセットプレーから小林のゴールで引き戻したね。フロンターレは10人になってもパスやドリブルで局面を打開できる選手が多いから、そこまで押し込まれることはなかったし、訪れたチャンスをしっかりモノにした印象だ。途中出場から2点を挙げた小林は、さすがの働きぶりを示したよ。

 MVPは大抵、ゴールを決めた選手に贈られることが多いけど、今回はGKの新井に決まったね。最後は絶体絶命の場面からふたつ止めたわけだから、3失点したとはいえ、ここは納得の選出だよ。

 リーグ戦ではなかなか調子が出ないまま終盤戦まで来てしまったフロンターレだけど、今回はファイナル5度目の挑戦で初優勝を飾った。これを弾みにして、リーグ終盤戦にどんな影響を与えるのかも、今後の見どころかもしれないね。

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