【ルヴァン杯決勝】「苦しかったですよ…」21歳、田中碧が大舞台の重圧を乗り越えた先に見えたモノ

2019年10月27日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

PK戦については「頼むから来るなって思ってました」と正直に告白

大舞台で先発出場を果たし、堂々たるプレーを見せた田中。(C)SOCCER DIGEST

 お互いにカップ戦初タイトルが懸かるチーム同士が激突したルヴァンカップ決勝は、PK戦の末、川崎が初の栄冠を手にした。

 試合は開始10分、札幌に先手を奪われるも、その後は緩急を織り交ぜたパス回しで川崎が主導権を握り、前半アディショナルタイム3分に阿部浩之の得点で同点とする。88分に途中出場の小林悠が勝ち越しゴールを挙げるが、試合終了直前のラストプレーで劇的な同点ゴールを奪われ、土壇場で振り出しに。延長戦でもお互いに1点ずつを加え、3-3でもつれ込んだPK戦を5-4で川崎が制し、歓喜の瞬間に酔いしれた。

 ダブルボランチの一角で先発出場を果たした田中碧は、試合内容について「苦しかったですよ…」と疲弊した様子で答えた。

 川崎にとっては5度目のファイナルへの挑戦。今年こそはカップを掲げるという強い気持ちを選手だけでなく、スタッフ、ファン・サポーター全員が共有していた。それだけに、出場する選手にかかる重圧は並大抵のものではなかったはず。ましてや、川崎の将来を担うと期待される21歳の若者にとっては、なおのことである。
 
「最初はやっぱり緊張していましたし、あまりボールが足につかないというか、少しゆっくりプレーせざるを得なかった部分がありました。そこは難しいなと改めて感じました。失点するまでの時間なんかも、やっぱりドタバタしてしまっていました」
 
 得点のチャンスもあった。1点を先制されて迎えた45+2分に、中盤でパスを受けた田中は、積極的にドリブルで中央突破を仕掛けると、ペナルティーアーク手前からシュートを放つ。しかし、ボールは相手DFのブロックに遭い、大きく枠の上へと外れた。ただ、この勇敢な姿勢が、同点ゴールを呼び込むことになった。
 
「決めたかったですけどね、ミドル。でも、あの(後の)CKで(同点ゴールが)入ったんで、それは結果として良かったなと思います」
 
 また、PK戦の順番は、勝負が決まった6番目の最後のキッカー、長谷川竜也のあとだった。「頼むから(自分の番が)来るなって思ってました。ほっとしました(笑)」と笑顔を見せた田中。
 
「自分の経験値としてすごい大きなものになったんじゃないかなと思います」と本人がそう語るように、様々なプレッシャーを跳ねのけて勝ち取ったリーグカップ。この経験は田中にとって今後、川崎さらには日本を背負っていくプレーヤーとしての肥やしとなったに違いない。
 
取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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