またしてもプレーオフ敗退… 戦えなかった千葉、ベテラン山口の悔恨

2014年12月08日 細江克弥

チームメイトやスタッフが肩を叩いても…。

敗北を告げるホイッスルが鳴ると、山口はがっくりと膝を落とし、10分近く動けなかった。 (C) SOCCER DIGEST

 試合後の取材エリアで、36歳のDF山口智は顔なじみの記者たちに頭を下げた。
 
「すいません。ホント、すいません」
 
 ジェフユナイテッド千葉は、J1昇格の残り1枠を争うプレーオフ決勝でモンテディオ山形に敗れた。プレーオフでの敗退は3年連続。かつて日本サッカー界屈指の名門と称されたチームは、またしても目の前にあったはずの結果をつかみ損ねた。
 
 山口がキャリアのスタート地点であるジェフに戻ってきたのは、2012年のことだ。しかしその1年目、彼は再び黄色のユニホームを着る決断を下したことに心情的な「復帰」の意が含まれていることを否定した。
 
「僕は『戻って来た』という表現が好きじゃない。一人の選手として評価してもらって、戦力として考えてもらって移籍してきた。"昔いたチーム"というだけで、今はもう、チームも環境も全く違いますから」
 
 そして、こう続けた。
 
「結果を出すのは簡単じゃない。いい選手がいれば勝てるわけでも、ちょっと結果が出たらそれでOKというわけでもない。僕はガンバ大阪で、それを知りました。現状に満足したら、選手もチームも終わり。ジェフにはそういう部分でアバウトなところがあったと思うし、今もあると感じています。自分を含めてもっと厳しくやらないといけないし、嫌われ役になってでも、自分が影響力を持たないといけない」
 
 しかしあれから3シーズンが経過した今も、山口はあの時と同じ表情で、同じニュアンスの言葉を発し続けている。
 
 山形との運命の一戦が0-1のまま幕を閉じると、山口はその場に膝を落とした。ピッチに顔をうずめたまま、10分近くも動けなかった。
 
 歩み寄ってきたチームメイトやスタッフが肩を叩いても、顔を上げることも身体を持ち上げることもできない。その悲痛な姿は、やり場のない怒りと悔しさ、抱えていた責任の重さと自分に対する不甲斐なさを、すべて抱えて身体の中に閉じ込めようとしているように見えた。
 
 もっとも、ピッチで何があっても、彼が怒りや悔しさを抱えたまま取材エリアに現われることはない。取材陣の質問には常に丁寧に答え、チームメイトに遠慮することなく個人名を挙げて叱咤することもある。ただし、彼の口から冷静かつクレバーな言葉で発せられるメッセージの多くは、「戦う姿勢」に言及したものである。おそらく3年間にわたってチームに訴え続けてきたのも、そのことだったに違いない。

【ゲームPHOTOギャラリー】山形 1-0 千葉

次ページ5年に及ぶJ2の戦いでチームは想像以上に疲弊。

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