「若い選手はサカイをお手本にして」フランスの著名解説陣が絶賛した、酒井宏樹の“決定的”な仕事【現地発】

2019年10月07日 結城麻里

敗れたチームで高評価

マルセイユ守備陣でひろり気を吐いた酒井。 (C) Getty Images

 5人の主力を欠いたオリンピック・マルセイユは現地時間4日夜、敵地アミアンで手痛い敗北を喫した。1-3で敗れたアウェーチームにおいて、ゴールを決めたダリオ・ベネデットと並んで奮戦したのが、本職ではない左SBで起用された酒井宏樹だ。

 この日の中継局は地元局の『Canal+Sport』。ゲスト解説には、元フランス代表アタッカーのシドネー・ゴブが招かれた。心地よい声と穏やかな口調で、的を射た解説をする人気上昇中のコメンテーターは、試合の序盤で見せた酒井の守備について、こう評した。

「サカイが見事に救いましたね。敵の攻撃のコースをきっちり防ぎました。これが非常に大切なんです。サイドバックをプレーしている若い選手たちは、このサカイのプレーをお手本にして学ぶといいと思います。実はなかなかできないプレーなんですが、サカイは素早く身体を入れ、しっかりとコースを消しています」

"手本"となるシーンは33分にも訪れた。アミアンの左サイドアタッカーを務めたフェルネイ・オテロに、マルセイユのヴァレール・ジェルマンとブナ・サールが受け持つ右サイドを突破された。並行して中央と右サイドからも攻め上がられ、マルセイユのCBペアは完全に置いていかれる形となった。

 計3人の敵アタッカーがGKステーブ・マンダンダの守るゴールに迫る。アミアンにすれば、そのまま左から持ち込んでも、もしくはクロスを送り込んでも1点という絶好のチャンスだった。

 だが、酒井がいた。

 日本代表DFは驚異的な走力でゴール前に駆け戻り、クロスを先読みしてコースを塞ぐ。そして読み通りに送り込まれたクロスをクリアし、チームの危機を救ったのだった。文字通り"決定的"な守備だった。

 実況アナも「またサカイが救いました。2度目です!」とゴブに同調した。総崩れのマルセイユの守備陣の、酒井はまさに救世主的存在だった。

 しかもこの後、攻撃面でも輝くのだ。ゲームメーカーが不在の状況を打開すべく、酒井は左サイドから果敢にアミアンを崩しにかかり、絶好のクロスをゴール前に上げたうえ(75分、ブナ・サールが打ち損ねた)、81分には自身もシュートを放ったが、相手の足に当たって防がれた。

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