【鹿島】むしろ「こんなもんかな」ぐらいがちょうどいい。先発復帰の内田篤人の出来は?

2019年09月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

今後に向けて、良い感触を得られたはずだ

札幌戦で約6か月ぶりの先発復帰を果たした内田。局面を前に動かす縦パスなど、まずまずのパフォーマンスだった。写真:徳原隆元

[J1リーグ第27節]鹿島1-1札幌/9月28日/カシマ
 
 ピッチに立つのは、9月1日の25節・清水戦で途中出場して以来。先発での出場は、3月30日の5節・磐田戦以来で、実に約6か月ぶりのことだ。
 
 今節の札幌戦で、内田篤人は腕章を巻いて、久しぶりにスタメンに名を連ねた。特別な感情が込み上げてきたりもしたのか――百戦錬磨の内田は、そんな感傷的な気分になどならない。「キャプテンマークを巻いてとか、何か月ぶりの復帰とか、みんな言うけど、俺、何年もやっているし、そんなこといっぱいあるから。あんまり意識していない」ときっぱり。
 
 そんなことよりも、「だいぶサボっているので。しっかりやらないといけない」という気持ちのほうが強かった。
 
 自身のパフォーマンスについては「もう少し、やらなければいけないけど」と満足はしていない一方で、「こんなもんかな」というフレーズを何度か口にした。
 
 得点やアシストといった目に見える結果を残したわけではない。77分に途中交代するまでの総走行距離は7.958キロメートル、スプリント回数は10回と、いずれも平均的な数値ではある。
 
 だからといって低調な出来だったかと言えば、そんなことはない。頻度はそれほどではなかったにせよ、タイミング良く攻め上がるシーンはあったし、シンプルなパス交換でボールの流れをスムーズにした。
 
 クロスに関しては「(空中戦に強い上田)綺世がいるので、どうしても俺も(左SBの小池)裕太も狙いすぎたかなっていう。放り込みすぎた」と反省の弁。ただ、ワイドに開いたFWに入れる縦パスは正確で、チームとしてはそれで局面を前に進めることができていた。
 
"復帰戦"としては、まずまずの内容だったのではないか。内田本人は、何よりも怪我による再離脱をしないようにと慎重だ。「プレーしたいし、プレーしなければいけない立場だと思う」と言葉に力をこめる。
 
 その意味では、札幌戦では際立つプレーは少なかったかもしれないが、実戦を通じて、コンディション的に問題がなかったことのほうが大きい。「全然、大丈夫。筋肉系に問題が出たとか、膝が痛いとかはないので」。今後に向けて、良い感触を得られたはず。むしろ「こんなもんかな」ぐらいがちょうどいいのだ。
 
「練習でしっかりやっていけば、(調子は)勝手に上がってくる」
 
 昨季に引退したレジェンド小笠原満男の後を引き継ぎ、国内随一の常勝軍団の先頭に立ってタイトルへと導くべき存在がようやく戻ってきた。シーズンも終盤戦に突入し、大事なゲームが増えてきた今こそ、豊富な経験を持ち、強い責任と覚悟を持つ内田の力が必要だ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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