「沖縄サッカー」の厳しい現実。独自の教員制度に苦しみながら子供と先生は必死に…

2019年09月24日 龍フェルケル

優秀な子供たちの多くは中学を卒業すると…。

ビーチで練習する生徒たち。写真:龍フェルケル

 ドイツのベルリンを拠点にもっぱらプロサッカーを撮っている僕にとって、沖縄の高校サッカーはまさに未開の地だ。当地でどんなサッカーが行われているのか、まるで想像することができなかった。
 
 2年前、冬の旭川で高校サッカーを取材した時には、「これが北海道のサッカーだ」と自分なりに納得する答を見つけることができた。
 
 この「北海道のサッカー」から雪を取り除けば、「沖縄のサッカー」になるのか。あるいは、北海道とはまったく異なるサッカーがあるのか。両者の違いを写真で浮かび上がらせることはできるか。その疑問を解決すべく、この夏に沖縄に飛んでみた。沖縄の高校サッカーをファインダーに収めるべく。
 
 結論から言うと、サッカー自体に大きな違いはなかった。しかし、サッカーを取り巻く環境の違いには大いに驚かされた。
 
 沖縄サッカーの最大の特徴は、選手と監督たちの顔立ちだ。自分が思うステレオタイプの"日本人"とは、まったく違う。浅黒く、独特の黒さが写真映えする。
 
 また、南国の人々には笑みが似合うと思っていたが、彼らには厳しい表情の方がしっくりとくる。真剣かつ寂しそうな眼差しが、現在の沖縄サッカーを苦しめている問題を映し出しているように感じられるからだ。
 
 Jリーグの各クラブがキャンプを張る事実が示す通り、一見すると沖縄の環境は素晴らしい。ビーチで負荷の高いトレーニングが積めるし、冬でも気温はあまり下がらない。
 
 しかし、沖縄のハイレベルな子供たちは、中学は卒業すると県外に去っていくケースが多く、地元の高校は人材不足に陥りがちだという。その理由として大きいのが、沖縄の独特な高校教員制度、「7年間教員制度」である。
 
 全ての教員が、最長7年で他の高校への転勤を命じられる。同様の制度は他の都道府県に存在するが、えてして"特例"が存在するもの。しかし、沖縄ではどんな教員も最長7年で異動を命じられるのだ。
 

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