大敗に涙、長時間ミーティングで激論も…冬の選手権へ市立船橋に強さは甦るか?

2019年09月16日 松尾祐希

大黒柱不在が響き、プレミアリーグで苦戦。夏のインターハイは県予選敗退…

柏レイソル戦で市立船橋のゲームキャプテンを務めた鈴木(10番)と最終ラインを統率した2年生DFの石田。写真:松尾祐希

 夏を終え、高校サッカーもシーズンの終盤に差し掛かってきた。10月の第2週でプレミアリーグが中断されると、一気に"冬の選手権"モードに突入する。

 10月下旬から地区予選決勝が各地で開催されるなかで、今年も注目は千葉だろう。昨年度まで2年連続で全国準優勝を果たしている流経大柏、3年ぶりに冬の全国切符を狙う市立船橋に加え、この二強を撃破して夏のインターハイに出場した日体大柏も虎視眈々と出場権を狙っている。まさに群雄割拠。どこが制しても不思議ではない。

 各チームが憧れの舞台を目指すなかで復権を期す市立船橋が、最後の冬に向けて準備を進めている。

 今季、市立船橋はチームの転換期を迎えた。朝岡隆蔵前監督(現ジェフ千葉U−18監督)が昨季をもって退任。波多秀吾監督の下で新たなスタートを切った。

 選手権1度、インターハイを3度制した前任者の下でコーチを務めていた新参の将が、どのような采配を見せるのか。攻撃を牽引するプロ注目の鈴木唯人(3年)と賀澤陽友(3年)、ボランチのキャプテン・町田雄亮(3年)、湘南入団内定でU-17代表の畑大雅(3年)やU-18代表の植松建斗(3年)の両SBといったタレントたちがいかなる戦いを見せるのか。注目を集める中で、"千葉の雄"は序盤から苦しんだ。

「先に点が取れていればとか、失点していなければとかが多い。本当にギリギリの勝負どころで勝ち切れない。勝負の分かれ目で、簡単にいかせてもらえなかった」(波多監督)

 朝岡前監督から受け継いだ戦う姿勢や球際の攻防で競り負けないスタイルをベースにするも、精神的に未熟な選手が多く、イージーなミスから"らしくない失点"を喫する場面が散見。また、春先から主軸を揃えられなかった点もマイナスに働いた。

 鈴木は代表活動でチームを留守にする機会が多く、町田は春先に負った怪我でリーグ戦の出場は3試合のみ。大黒柱の不在が大きく響き、プレミアリーグでは下位に低迷した。そして、迎えた6月のインターハイ予選。準決勝で日体大柏に0−1で敗れ、9年ぶりに夏の全国行きを逃してしまった。

 試合後には長時間のミーティングを行ない、球際で戦えずに安易な失点を喫した自分たちの戦い方を猛省。7月中旬の堺遠征、8月上旬の金沢遠征では課題と向き合った。そして、同中旬に行なった毎年恒例の福島合宿ではフィジカルトレーニングで追い込み、一から心身を鍛え上げた。

 効果は徐々に現われる。プレミアリーグ再開後は得点力不足で勝ち切れなかったものの、課題だった守備陣がタフな守りを披露。2試合で1失点と堅守を見せ、本来の姿を取り戻しつつあった。しかし……。
 

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