「完勝すべき試合で完勝を収めた。ただ…」熟練の英国人記者がミャンマー戦の森保Jを斬る!

2019年09月12日 マイケル・プラストウ

たった2得点? 批判的な見地に立つのはどうかと思う

後半はミャンマー守備陣の連携が高まり、大迫(中央)へのプレッシャーも激しさを増した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表が力強いスタートを切った。

 火曜日にミャンマーで行なわれたワールドカップ・アジア2次予選の初戦。ボールが上手く繋げられない滑りやすいピッチだったが、選手たちはまるで氷の上でバランスを取るかように巧妙なプレーをみせた。用心しながら我のリスクを回避して、長短織り交ぜた素早いパスワークを実践しながら、ゲームをコントロールし続けたのだ。

 あのヤンゴンのピッチを見て、ふと思い出した。遠い昔の幼少期、わたしも沼のようなピッチでよくボールを追いかけたものだ。いまや環境に恵まれている日本代表の選手たちにとって、さすがにあのレベルのピッチでプレーするのは稀なケースだろう。技巧を発揮するのは簡単ではないはずだが、換言すれば、彼らはものの見事にその状況下でも技巧を見せつけていた。見事というほかない。

 積極果敢に仕掛け、ボランチやサイドアタッカーもどんどん前線へと飛び出す。前半の良い時間帯に綺麗なゴールを立て続けに決めた。大迫勇也や南野拓実はボックス内のスペースを的確に見つけては、上手く活かしていただろう。橋本拳人の再三のミドルシュートも印象的だった。直前のパラグアイ戦では守備面で大きな役割を果たしていたが、ミャンマー戦では攻撃面でも十分にアクセントになれることを証明したのである。

 
 日本の先制点は素晴らしかった。堂安律の鋭いタックルから迅速に左サイドへ展開し、中島翔哉が持ち前のカットインから絶妙なカーブのかかった芸術的なショットを蹴り込んだ。チームとしての積極性、連動性、そして高い技術が凝縮されたファインゴールだろう。2点目の南野が決めたヘディングゴールも、堂安の反応の良さから生まれた。

 完勝すべき試合で、完勝を収めた。そう考えれば、さほど称賛に値するゲームではなかったのかもしれない。ただあの相手に対して2ゴールしか奪えなかったからといって、批判的な見地に立つのはどうかと思う。兎にも角にもワールドカップ予選の初戦という独特の緊張感のあるゲームを、きっちりモノにした点は称えられて然りだ。

次ページ4年前のシンガポール戦の再現も起こり得たが…

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