例年以上の注目度!上向き同士の熱きバトルに“四国ダービー”があることの幸せを感じた…

2019年09月11日 江刺伯洋

攻撃陣が好調の愛媛と3連勝中の徳島。四国ダービーの看板に偽りなしの好ゲームに

プロクラブとしては、32回目の対戦。“四国ダービー”は白熱した好ゲームとなった。(C)SOCCER DIGEST

 今回の「四国ダービー」は例年以上に注目の大一番だった。

 愛媛は、前節の福岡戦を落としはしたが、それまでの5試合で16得点と攻撃陣が爆発。とくに、2試合前の大宮戦では5-1の大勝で、川井健太監督がこだわる「攻撃的スタイルに振り切る」成果が数字に表われ始めていた。
 
 対する徳島もここまで3連勝。順位を一桁の9位に上げ、プレーオフ出場圏を射程内に捉える。「個人的にも燃えないわけがない」と対戦前に目をぎらつかせていたのは、愛媛5年目の近藤貴司。5試合で4得点・5アシストと覚醒中の近藤は、「ダービーだけ見に来る人もいる。そこで勝てばお客さんも増えるはず」とリーダーの自覚を胸に、来る一戦に闘志を燃やしていた。
 
 プロクラブとしての対戦は、これが32回目(愛媛9勝、徳島16勝、引分け6試合)だが、アマチュア時代を含めると39回目。愛媛は、JFL時代に7度徳島(大塚製薬)と対戦して、一度も勝てず後塵を拝していた。初勝利は実に8度目の対戦、2006年に愛媛がJ2に上がった年だった。

「Jに行くのもJ1に行くのも常に向こうが先で、環境面も含めて常に我々の一歩先を行っている」と自らも現役時代に四国ダービーの経験がある愛媛の川井監督は、好敵手にリスペクトを込める。
 
 今季はカップ戦を含め、すでに2度対戦。いずれもアウェーゲームとなったが、90分間では決着がつかず、1分け1敗(J2第9節1-1/天皇杯2回戦0-0 PK3-5)で愛媛が負け越していた。
 
 しかし、愛媛はそこからチーム力を上げ、柏や長崎、大宮らに快勝するなど、上位喰いを得意としていた。指揮官は「僕のひねた性格がチームに移ったのかな(笑)。得点が多い方がお客さんも喜んでくれますし」と自信満々に宣戦布告。ともに攻撃的かつ上向き状態で激突する今回のダービーは、看板に偽りなしの好ゲームとなった。

「ダービーは勝利のみ!」と書かれた横断幕が応援席に掲げられたアウェー側スタンドはほぼ満席。キックオフ前、愛媛が保持していたダービーフラッグが返還されると、ニンジニアスタジアムは異様な高揚感に包まれた。

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