【福岡】異次元のビッグプレー!! レベスタ初勝利を呼び込んだスペイン人GKの「神セーブ」

2019年09月04日 中倉一志

誰もが予測できないビッグセーブでチームに勇気を与えた

今季は30節全てでスタメンを務めているセランテス。写真:滝川敏之

 GKのセランテスが吼える。

 右手を突き上げ、両こぶしを固く握りしめ、身を震わせながら、そして二度、三度と夜空に向かって雄たけびを挙げる。そして、レベルファイブスタジアムが大歓声に包まれた。
 
 8月31日。レベルファイブスタジアムで、J2リーグ30節、19位のアビスパ福岡対14位の愛媛FCの一戦が行なわれた。前述のワンシーンは、29分のこと。

 立ち上がりから主導権を握るアビスパが見せた一瞬の隙を愛媛は見逃さない。一気にゴールに迫り、山瀬功治が右足を振り抜くと、ディフレクションしたボールがゴール前にこぼれる。

 シュートに反応していたセランテスはゴール左隅に倒れたまま。そして走り込んできた丹羽詩温が無人のゴールに左足インサイドで蹴り込んだ。万事休す。誰もがそう思った。

 だが次の瞬間、視界の外から伸びたセランテスの右手がボールを叩きつけるようにしてセーブ。大きく跳ね上がったボールはクロスバーの上へ。

 愛媛サポーターはもちろん、福岡サポーターでさえ予測できなかったスーパープレー。そして、このプレーがチームに勇気を与えた。

 福岡の先制点は59分。愛媛が前がかりになった裏を突いて、カウンターから前川大河がゴールネットを揺らす。

 追加点は73分の城後寿。裏へ抜け出して見事なループシュートを決める。そして82分のダメ押し点は松田力。輪湖直樹、城後との鮮やかなコンビネーションプレーで愛媛の守備陣を完璧に崩した。

 そして、後半もセランテスがスーパーセーブを連発。ホームのサポーターの熱い声援にも支えられて、福岡は3-0とレベルファイブスタジアムでの今シーズン初勝利を手にした。この結果アビスパは17位に浮上。

 MVPはもちろんセランテス。DFの石原広教は、「前半に不用意なプレーでピンチを招いたところでジョン(セランテス)が助けてくれた。あのセーブが今日の試合がこちらに傾いた要因。ジョンに本当に感謝したい」と言い、選手たちはそう口々に同じ言葉を語った。

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