【浦和】前人未到の「8年連続ふた桁得点」でも興梠に笑顔がない理由。「僕が一番取りたいのは…」

2019年09月02日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「個人タイトルは欲しいですけど、個人的に一番取りたいのは

8年連続ふた桁得点の記録を樹立。興梠のチームを勝たせるという責任感が得点量産につながっているのかもしれない。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ25節]湘南1-1浦和/9月1日/Shnan BMW スタジアム平塚
 
 浦和レッズの興梠慎三がついに前人未到の金字塔を打ち立てた。
 
 偉業が生まれたのは、9月1日の湘南ベルマーレ戦の試合開始わずか3分のことだった。左サイドを抜け出した武藤雄樹のクロスに右足で巧みに合わせると、GKの股を鮮やかに抜いて今季10ゴール目をゲット。8年連続でふた桁の大台に乗せてみせたのだ。

 
 8年連続はJ1新記録。エジミウソン(元新潟、浦和など)と佐藤寿人(現・千葉/元広島など)を抜き去り、単独で記録を塗り替えた。
 
 毎年コンスタントにゴールを奪える理由は、柔軟な身体を活かした多彩なゴールパターンと高い決定力だろう。しかし、それだけではなく、本人は「チームメイトのおかげ」だという。
 
「僕は自分で突破してゴールを決めるような選手ではないです。みんながつないできたボールを、ラストパスで決めるのが僕の持ち味。本当にみんなのおかげです」
 
 仲間に感謝する興梠は、どこまでもチーム想いだ。偉業を達成しても、チームが勝利を逃した(終盤に同点ゴールを決められて1-1のドロー)点で、「そうやって歴史に名を刻めたことは非常に嬉しく思いますけど……」と不満げな表情を見せる。
 
「取れることなら、個人タイトルは欲しいですけど、個人的に一番取りたいのは、Jリーグ。浦和レッズで、天皇杯、ルヴァン、ACLを取ったけど、あとひとつ取っていないのが、Jリーグ。それを今いるメンバー全員と一緒に取りたい」
 
 25節終了時点で首位のFC東京とは勝点差21の11位――今年のリーグ優勝は難しいだろう。それでもチーム想いのエースは、悲願達成のために、今後もゴールを量産するはずだ。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

【湘南 1-1 浦和 PHOTO】興梠が大記録となるゴールを決めるも、梅崎の土壇場PKで追いつかれドローに終わる
 

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