【岡山】「一番ファジアーノを体現している選手」監督・チームメイトが信頼を寄せる背番号17のひたむきさ

2019年08月31日 寺田弘幸

「健二の調子でチームの調子も変わるっていうのも感じます」

攻守両面にわたり貢献度の高い働きを見せる岡山の関戸。今季いまだないゴールを取りたいと意気込む。写真:滝川敏之

 今季に岡山へ加入した田中裕介にチームをけん引する寡黙なMFの印象を聞くと、「半年くらいずっとつかめないなと思いながらやっていたんだけど、ようやく分かってきた」と笑みを浮かべて話してくれた。
 
「アイツの一番の武器は、言われたことを遂行できる真面目さ。それって当たり前のことだと思うと思うけど、けっこう難しいこと。疲れたりしてちょっと気持ちが折れることは普通にあるけど、アイツは疲れていても足を動かせる。ボールがないところのプレーなんで分かりづらいと思うけど、そこは本当にすごい」

 
 そして、田中はこう続ける。
「一番ファジアーノを体現しているような選手かなって思う。(在籍期間が)長いってこともあると思うけど、ひたむきに頑張るとか、そういうこのクラブがずっと大事にしてきたものを一番表わしている選手じゃないかな」
 
 田中が語ってくれた選手は、関戸健二である。岡山一筋8年目のシーズンに臨んでいるMFは有馬新体制に生まれ変わった今季も勤勉なプレーを続けてチームを支え、イ・ヨンジェ、仲間隼斗とともにリーグ全試合に出場。有馬監督も背番号17には厚い信頼を寄せている。
 
「本当によく気付くことができる選手で、気付いたら自分で実行していくアジリティ、モビリティがある。攻守に自分の良さを出してくれているし、春先に比べたら球際もすごく強くなった」
 
 有馬監督も足を止めない関戸のタフさに言及している。「選手一人ひとりがリーダーになってほしい」という方針を掲げてきた指揮官は、「口でリーダーシップをとっていなくても、チームで一番、二番に走って汗をかき、プレーでチームを引っ張ってくれている」と関戸なりのリーダーシップの表現力を評価していた。
 
 関戸自身も充実したシーズンを送っている実感を口にした。
 
「試合に出れているのでモチベーション的にいいところを保ててますし、夏場はきつかったですけど、ちょっと涼しくなってきたんでここからまた状態を上げていけると思う。有馬監督になってもこれまで通り本質的なところ、球際とか切り替えは変わらずすごく大事にしているんで、まずそこを意識して攻撃にも絡んでいけるようにしたい。点を取れていないんで、点を狙っていきたいです」
 
 そうシーズン終盤戦への抱負を語った関戸。本人も求めているように攻撃面のさらなる向上が期待されるところだ。元々関戸は「大学のときは一発のパスしか意識してなかった」というチャンスメーカーで、プロ1年目のシーズンには3得点を挙げている。現在はプレー強度を高く保って攻守をつなぎとめるバイプレーヤー的なMFになっているが、本来持つ攻撃性を呼び戻してゴールへ向かっていってもらいたい。
 
 田中は「健二の調子でチームの調子も変わるっていうのも感じます」とさえ話していた。関戸が得点を重ねていくようになれば、きっとチームも多くの勝点を重ねて上へ昇っていくはずだ。
 
取材・文●寺田弘幸(フリーライター)
 
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