【U-18プレミアリーグ】16節ピックアップ・ゲーム[EAST]柏U-18 対 市立船橋|柏が初優勝に王手!

2014年11月23日 松尾祐希

柏の強さを象徴するDF熊川翔の右ウイング起用の成功。

本職はDFの熊川翔が初挑戦となる右ウイングで躍動。1アシストをマークしている。

 2時間前にキックオフとなった清水ユース対三菱養和SCユースの試合で、清水ユースが勝利を収めたことにより、柏U-18の優勝決定は次節以降に持ち越しとなった。だが、優勝に向けて一直線に突き進む柏U-18は、千葉ダービーとなった市立船橋との一戦でも、その強さを発揮した。
 
 この試合で柏U-18の強さの象徴とも言える活躍を見せたのが、2年生DFの熊川翔だ。右サイドで攻撃のキーマンとなるFW白川恵士朗が負傷欠場だったため、白川のポジションに抜擢されたのが、前節まで右SBで起用されていた熊川だった。
 
 しかし、本格的に熊川が右ウイングに挑戦したのは1週間前の練習試合からだった。U-18ではもちろん、小中学校時代もこのポジションを定位置したことはなく、試合の途中から務めたことが多少あるぐらいの経験しか持ち合わせていなかった。熊川自身も先週の練習試合ではまだ経験が浅いこともあり、「慣れないゴール前では、落ち着いてプレーできなかった」と、前線でのプレーに戸惑いを見せていた。
 
 しかし、その言葉が嘘のように、市立船橋戦で熊川は大きく躍動した。そのきっかけとなったのが、「発想の転換」だった。
「足下が上手い(白川)恵士朗と自分の違いはスピードだと思う。まだ、(このポジションを)あんまりやったことがないので、まずは自分の良いところを出して、チームにいい影響を与えられたらと思いました」
 
 自分と白川はプレースタイルや武器も全く違う。だから白川と同じようなプレーをイメージするのではなく、自分の武器を活かした自分なりの右ウイングをこなそう。この発想の転換が、熊川に大きな力をもたらした。
 
「タイミングよく背後に抜け出すことや、自分が裏に抜けることによって、相手のセンターバックが自分をケアして、大島(康樹)がフリーになるのであればチームのためになる」
 
 隙あらば何度も裏のスペースへと抜け出し、相手守備陣を翻弄。本職のプレーヤーと遜色のないプレーを見せると、54分、右サイドの深い位置に切り込んでからの折り返しで、MF麦倉捺木の先制点をアシスト。「自分のストロングポイントであるスピードで、裏への抜け出しを活かしていこうと思った。それが1点目につながったと思います」と、試合後に胸を張った熊川に対し、下平隆宏監督も「今日は個人的には熊川が良かったと思います」と、高い評価を与えた。 
 熊川の躍動もあり、チームは先制後、効果的にMF会津雄生、山崎海秀が追加点を奪い、3-1と快勝。これで次節の青森山田戦に勝てば優勝というところまで迫った。
 
 この日の熊川のように、複数のポジションをいずれも高水準でこなす選手が、今年の柏U-18の躍進を支えてきた。この試合でも、これまでCBに入ることが多かったMF手塚康平はアンカーをこなし、左SBの麦倉捺木はインサイドハーフを務め、きっちりと組織として機能していた。
 
 これでいよいよ、優勝まであと1勝と迫った。しかも、「3年生にとって日立台での試合は最後になるので、優勝を決めて良い形で送り出したい」と、熊川が語るように、日立柏サッカー場で自力優勝を決める花道まで用意された。トップチームと同じように、昇格1年目での優勝を、約15000人収容のホームスタジアムで決められるのか。注目の一戦は11月30日の14時にキックオフとなる。 
 
U-18プレミアリーグ/16節の結果
[EAST]
柏U-18 3-1 市立船橋
清水ユース 3-2 三菱養和SCユース
鹿島ユース 1-1 JFAアカデミー福島
流経大柏 3-1 札幌U-18
青森山田 0-1 東京Vユース
 
[WEST]
富山一 3-4 C大阪U-18
東福岡 0-3 名古屋U18
G大阪ユース 2-3 京都橘
広島ユース 1-0 東山
京都U-18 3-4 神戸U-18
 
取材・文:松尾祐希(フリーライター)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事