【松本】すっかり大人になった“元浦和”阪野豊史は、敵として立った埼スタで何を感じたのか

2019年08月24日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

見せ場は1点ビハインドの75分にやってくる

約6年ぶりに埼スタのピッチに。懐かしさを感じながらも、冷静だったという。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ24節]浦和1-2松本/8月23日/埼玉スタジアム2002
 
「サポーターの声援が大きくて、試合中は味方への声が通らない。このスタジアムが良い雰囲気の時は、やっぱりなかなか難しいなと。久しぶりにやってみて懐かしい感じがしました」
 
 浦和ユースで育ち、明治大を経て、浦和でプロキャリアをスタートさせたのが22歳の時。ルーキーイヤーはリーグ9試合に出場し、埼スタのピッチを駆け回った。
 
 それから6年、すっかり大人になった阪野豊史は、そしてこの日は赤ではないユニホームを身にまとい、埼スタに立っていた。
 
 カップ戦でしか出番を得られなかった2014シーズン終了後、阪野は15年に栃木SCへ、16年に愛媛FCへ期限付き移籍。この2年で83試合・18得点とJ2で確かな実績を残し、17年にモンテディオ山形に完全移籍を果たした。
 
 山形のエースとして活躍し、今季も21試合・7得点と一時はチームを首位に引き上げる原動力となると、そんな活躍が認められて、この夏にJ1の松本に完全移籍。そして松本の一員として臨むJ1リーグ5試合目が、敵地での古巣・浦和との対戦だったのだ。
 
 プロ1年目のシーズンぶりに埼スタのピッチに立った阪野の気持ちは、不思議と落ち着いていた。「当時はがむしゃらな感じでプレーしていた記憶があるんですけど、今日は比較的落ち着いて出来ていた。それが成長なのか分からないですけど、良いメンタリティでできていました」
 
 前半こそ森脇良太、槙野智章といった以前のチームメイトの激しいマークに苦戦した阪野だったが、見せ場は1点ビハインドの75分にやってくる。
 
 左ウイングバックの高橋諒から上がったクロスにジャンプ一番。森脇と槙野との競り合いを制して、技ありのヘディングで見事に同点ゴールを叩き込んでみせた。
 
「ペナルティエリアの中で勝負できれば勝てる自信もあった。チャンスの時はしっかり入っていこうと心掛けていたので、そういう気持ちや、動きの繰り返しが、ゴールにつながったのかなと思います。相手に当たってコースが変わってラッキーだったかもしれないですけど、しっかりそこでミートできたので」
 
 

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