東京五輪世代の10番・三好康児が最後に語った欧州挑戦の理由。鮮烈2ゴールを決めたコパ・アメリカの経験が…

2019年08月17日 飯尾篤史

8月17日に機上の人に。出発前に取材で「チャンスを生かしたい」と決意

アントワープとの契約は、1年間の期限付き移籍の予定だという。写真:飯尾篤史

 今夏、Jリーグからまたひとり、若者が海を渡った。

 6月のコパ・アメリカで日本代表デビューを飾り、ウルグアイ戦で2ゴールを叩き込んだ三好康児だ。横浜F・マリノスとの期限付き移籍契約を解除し、川崎フロンターレに戻ったうえで、ベルギー1部のアントワープと契約を締結するため、8月17日に機上の人になった。

 出発前に取材に応じた三好は「このタイミングでチャンスをもらえたので、掴みに行きたいと思った。チャンスを生かしたいと思います」と力強く語った。もともと海外でのプレーを夢見ていたが、その気持ちが大きく膨らんだのが、前述したコパ・アメリカだったという。

「もっと世界の選手たちと戦いたいと思いました。あの舞台で結果を残すためには、もっともっとレベルアップしないといけないと感じ、今回の決断に至った部分があります」

 すでにアントワープの試合映像にも目を通していて、「攻撃にスピード感があって、前線ではコンビネーションもある。スピードのある攻撃の中で、自分がボールを受けて相手を剥がしたり、前線の選手とうまく連係してゴールまで運べればいい」と、攻撃のイメージも膨らんでいる。

 とはいえ、チャンスメイカーに留まるつもりはない。「海外でポジションを奪うには、結果を出さないといけないと思っている。自分の特徴もそこだと思っているので、積極的に仕掛けてチャレンジしていきたい」と、強い覚悟を滲ませた。

 冨安健洋(現・ボローニャ)や鎌田大地(現・フランクフルト)が活躍した昨季のシント=トロイデンの躍進もあり、ベルギーには"日本人ブーム"が訪れている。今夏も鹿島アントラーズの鈴木優磨とベガルタ仙台のシュミット・ダニエルがシント=トロイデンに、横浜の天野純と柏レイソルの小池龍太が2部のロケレンに加入した。なかでも同じ年の鈴木とは「ちょくちょく連絡を取り合っている」と交流を明かした。

 ベルギーから視野を広げれば、久保建英(レアル・マドリー)、安部裕葵(バルセロナ)と同じポジションの後輩たちも今夏、戦いの舞台をヨーロッパに移している。ひと足先に海外で結果を残している堂安律(フローニンゲン)も含め、来年に迫った東京五輪代表のポジション争いも熾烈だが、あくまでも三好は「刺激を与え合えると思うけど、結果を残すも残さないも、努力次第。自分のことに集中して、自分のチームで結果を残してやるだけです」と、自分にフォーカスするスタンスを崩さない。

 まずは1年間の期限付き移籍の予定だという。だが、もちろん、1年で帰ってくるつもりはない。「ステップアップを思い描いての挑戦なので、上のレベルに行くチャンス掴むためにやっていきたいと思います」。来年の東京五輪、欧州の強豪クラブへのステップアップ、そしてワールドカップへ――。思い描く夢を実現するためにも、東京五輪世代の10番は、まずはベルギーで結果を残すことを誓った。

取材・文●飯尾篤史(スポーツライター)
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