「まるでロッキーだ!」リバプールを“欧州の頂点”に導いたのは1週間前まで無所属の第2GKだった

2019年08月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

右足1本でPKストップ! 勝利の立役者に

PKを止めて歓喜の雄叫びを上げるアドリアン。急遽回ってきたチャンスをモノにし、ヒーローとなった。 (C) Getty Images

 レッズを欧州の"頂点"に導いたのは、控えのベテランGKだった。

 現地時間8月14日、トルコ・イスタンブールにあるヴォーダフォン・パークで、UEFAスーパーカップが行なわれ、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ王者リバプールとヨーロッパリーグ王者のチェルシーが対戦。120分を終え、2-2で突入したPK戦の末に前者が2005年大会以来通算4度目の戴冠を果たした。

 1972年の初開催以来、大会史上初めてとなるイングランド勢同士の顔合わせとなったこの一戦で、チームを勝利に導いたのは、今夏にリバプールへとやってきた32歳のスペイン人GKアドリアンだ。

 今夏の移籍市場でウェストハムを退団して無所属となっていたアドリアンは、マーケットが締まる3日前に、シモン・ミニョレが退団し控えGKを探していたリバプールに加入。先週9日に開催されたノーリッジとのプレミアリーグ開幕戦で正守護神のアリソンがふくらはぎを負傷し、数週間の離脱を余儀なくされたことで、この大一番で出番が回ってきた。

 2失点は喫したアドリアンだったが、チームが押され気味となった延長後半にはメイソン・マウントの強烈なシュートをセーブし、さらにPK戦では相手の5人目となったティミー・エイブラハムのシュートを右足でストップ。文字通りのヒーローとなった。

 新たな第2GKの殊勝な活躍ぶりに熱血漢も唸った。

 リバプールの指揮官ユルゲン・クロップは、試合後、イギリス・メディア『BT Sports』のフラッシュインタビューで、「"エイドリアーーン"! まるでロッキーみたいな感じだ」と著名なハリウッド映画を引き合いにアドリアンを称えた。

「彼は驚くべきプレーを見せたと思う。両チームのGKが驚異的なセーブを披露したけど、アリソンが怪我をしてから準備期間が短かったアドリアンの方がより驚きを与えたと思う。PK戦でのセービングによってパフォーマンスに花を添えたね。彼が今夜したことは、私たちを助け、本当に誇りに思えることだよ」

 クロップから絶賛されたアドリアンは、「クレイジーな1週間だった」と振り返った。

「これでやっとリバプールへようこそって感じかな(笑)。本当にクレイジーな期間だったね。この試合に勝てたことをうれしく思うし、リバプールのため、ファンのためにプレーできて幸せだ。長い試合になったけれど、最後には僕たちにとって最高のものになった」

 リバプールにタイトルをもたらし、ファンのハートを鷲掴みにしたアドリアン。アリソンの離脱は痛いが、このベテランGKが控えているのは実に心強い。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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