磐田でのデビュー戦でいきなりゴール! 残留のキーマン今野泰幸の秘めたる攻撃性能

2019年08月09日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

得点に直結するようなスルーパスも狙う

前節の仙台戦でさっそく移籍後初ゴールを決めた今野。攻守両面でのさらなる奮起で、磐田をJ1残留へと導く。写真:徳原隆元

 鮮やかなヘディングでの一発だった。
 
 今夏のマーケットでG大阪から磐田に移籍した今野泰幸は、新天地でのデビュー戦となった21節の仙台戦で、さっそくゴールを決めてみせた。2点を先行されていた32分、山本康裕の狙いすましたFKに飛び込むと、打点の高いヘッドでゴールネットを揺らした。
 
 磐田は結局、今野のこの1点のみで試合には1-2で敗れてしまい、おそらく今野自身も結果には納得していないはず。それでも、J1残留のキーマンと目される背番号2が、その実力の一端を披露したのは事実だろう。
 
 この仙台戦の数日前、サッカーダイジェスト本誌のインタビュー取材で、今野はあるひとつの点で、すくなからず戸惑いを見せていた。攻守両面での活躍が期待されて磐田からオファーを受けた男は、しかし「(チームとして)点がなかなか取れていなくて、それで俺? っていう話でもあるじゃないですか」と謙遜して語っていた。
 
 それがどうだ。いきなりのゴールである。ボランチだけでなくCBでも質の高いプレーを見せる守備のスペシャリストは、優れた得点感覚と"勝負強さ"も兼備しているのだ。
 
 もっとも、今野自身は攻撃面における役割について、「良い形でボールを奪った時に、第一歩目のパスとか、カウンターの起点になるとか、そういうパス」の供給を意識している。さらには、ギリギリのところを狙ったスルーパスなど「リスクを負ってでも、相手にとって危険な位置にパスを出すようになってもいいかな」と、良い意味で欲が出てきているようだ。
 
 もちろん、"本職"の守備でもイメージはできている。キーワードは安心感と連係。「ディフェンスラインって、チャレンジ&カバーが上手く成立していないと。誰かが絶対にカバーしてくれるという安心感があれば、僕もガツンと行ける」。そのためには相手のボールホルダーの選択肢をひとつずつ潰すように、組織的に連動して守ることが肝となるが、「奪いに行くとなった時、みんなでスイッチを入れられるか。相手のボールホルダーに、そこしか出せない、とさせたら、狙いをつけて奪いにいける。みんなで協力すれば、誰かが奪いやすくなるもの。そういう守備をやりたい」と意気込む。
 
 チームは依然として厳しい状況にあるが、巻き返しのチャンスは十分にある。「残留争いを抜けるために、とにかくジュビロのために。全力で自分のプレーを見せたい」と口元を引き締めた今野のさらなる奮闘に注目だ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

※本記事は、サッカーダイジェスト8月22日号(8月8日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。

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