監督交代後も苦戦が続く千葉。チームが抱える課題とは?

2019年08月09日 赤沼圭子

連勝は一度だけと安定性を欠く

なかなか調子が上がらない千葉。ここからどう巻き返すのか。(C)SOCCER DIGEST

 シーズン後半戦に突入したJ2だが、千葉は江尻篤彦監督就任後(3月17日にフアン・エスナイデル監督との契約を解除し、江尻監督がコーチから昇格)も連勝が一度だけと安定性を欠く。
 
 J1昇格が目標だが、26節終了時の戦績は7勝9分10敗の15位と、J1参入プレーオフ進出圏内を目指すにはここから一気にペースを上げる必要がある。
 
 苦戦している要因のひとつには、開幕前のフィジカル強化に問題があったのか、後半になると運動量や走力、プレースピードが低下する点が挙げられる。選手は自分たちのスタミナが『落ちた』という感覚はなくとも、逆転負けした26節の鹿児島戦のように、後半に相手がギアを上げてきた時、それに対応できない試合があることは自覚している。
 
 フィジカルとスタミナに関しては、江尻監督は就任直後にいきなり強度を上げても選手の負傷につながると考え、トレーニングで少しずつを高めている状況だ。ただ、劇的に変化が表われず、時間がかかる部分なだけにもどかしい。
 
 また、江尻監督はエスナイデル前体制の良いところは継承し、サイド攻撃だけでなく縦パスを入れつつ相手の裏も狙う攻撃、状況によってハイプレスだけでなくブロックを作る守備など、自分の『色』を示そうとしている。だが、エスナイデル監督は一発のパスで相手の裏を狙う形を好まなかったせいか、現在は前線の選手が動き出しても、そこにパスが出ないシーンが目立つ。
 
 例えばFW佐藤寿人は相手の裏を取るのが上手いが、22節・岐阜戦で誰よりも佐藤寿の動き出しに合わせてクロスを入れたのが安田理大(4月30日に加入)で、24節・横浜FC戦で佐藤寿にスルーパスを出したのが見木友哉(特別指定選手)と、前監督の指導を受けていない選手だったのは象徴的だ。
 
 ただし、最近では熊谷アンドリューや矢田旭らが、裏に抜けるクレーベへスルーパスを出すなど変化は見られる。あとは佐藤寿がよく話すように、パスコースがひとつしかない状況から、2つ、3つと選択肢を増やせるかが鍵となる。
 
 一方で、千葉は失点数の減少にも取り組むが、なかなか改善できずにいる。前半は機能した守備が後半はハマらなくなった際、ピッチ内で改善や修正ができない試合が少なくないのだ。
 
 その点は、攻撃面も含めて「どういうふうに舵を取るのかというのはやはり重要で、その舵を取らなければいけないのは僕の仕事」と江尻監督は語るが、ピッチ内の変化を感じ、どう対応するか選手の判断力と修正力が依然として課題としてある。
 
 江尻監督は8月7日の囲み取材でチームを「守備のメンタリティを持った選手が他のチームに比べて少ない」と評し、選手の判断を求めながらも「判断の基準、柱になる部分から枝葉に分かれる部分のその枝葉のさわりの部分まで明確に伝えなければいけないのかなと思う」と話した。その指導が今後、目に見える結果として表われるか注目だ。
 
取材・文●赤沼圭子(フリーライター)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事