「80人を連れてきた」部員全員で掴んだ初優勝!十文字が昨年1回戦敗退の鬱憤を晴らす!!

2019年08月01日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

「僕自身も悔しい思いをしました」

十文字が日ノ本学園を下し、初のインターハイ制覇を成し遂げた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 8月1日にインターハイ(全国高校総体)女子サッカーの決勝戦が沖縄県の金武町フットボールセンターで行なわれた。優勝候補と目されていた十文字(東京)と日ノ本学園(兵庫)がファイナルまで順当に勝ち上がり、夏の高校日本一へ、互いに気持ちの入ったプレーを見せ、熱い戦いを繰り広げた。

 試合は十文字がボールを握り、ゲームを優位に進める展開に。日ノ本学園のカウンターにも中盤で素早く奪い、攻撃に転じるが相手の堅い守備を破れない。GKのスーパーセーブにも遭うなど、無失点で前半を終えた。後半もサイドを上手く使い猛攻を仕掛ける十文字は後半30分、藤田美優のFKをファーサイドに飛び込んでいた月東優季乃がヘディングで合わせて、決勝ゴール。十文字が初優勝に輝いた。
 
 十文字の指揮を執る野田明弘監督は、今年コーチから昇格した新監督。昨年のインターハイ1回戦で常盤木学園に敗れ、敗退した時、野田監督はコーチとして指導をしており、その時の悔しさもいまだに鮮明に覚えているという。
 
「去年初めて女子サッカーに携わらせていただいて、十文字高校のコーチをやらせてもらい、インターハイ1回戦で常盤木さんに負けて、そこからどれだけ成長できるかってところで、選手権に挑みましたが、また常盤木さんに負けて、僕自身も悔しい思いをしました。やっぱり気持ちだけじゃなくて、サッカーの部分で、自分たちのサッカーをしなければ、準決勝以降は勝つことが難しいっていうふうに去年感じました」
 
 その悔しさをバネに"全員"で勝ち取った初めてのインターハイ制覇。ただし、全員とは今大会に出場した選手だけではない。
 
「部員80人全員を(沖縄に)連れてきたので、本当にメンバーだけじゃなくて、80人の想いっていうのを、まずはサポートの選手がピッチに届ける。それを選手がしっかり感じて、ピッチで表現してくれたことがこの結果に繋がったんじゃないかなと思います」
 
 確かに決勝戦では、観客席から白いシャツを着た一団が黄色いメガホンを持って声援を送っていた。スタンドにいる部員一人ひとりの気持ちのこもった掛け声に、フィールドでプレーする選手たちも背中を押されたに違いない。
 
 部員全員で掴んだ栄冠。野田新体制としても初優勝で、冬の選手権に向けても弾みのつく大会になったはず。十文字の快進撃はまだまだ続きがありそうだ。
 
取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
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