「街はオカザキ・フィーバー」岡崎慎司の移籍はマラガの“一筋の光”。手引きしたのは元レスターDFだった【現地レポート】

2019年08月01日 ファン・ヒメネス(スペイン『AS』紙記者)

当初は「高嶺の花」と思われた

マラガへの移籍が決定した岡崎。デポルティボの柴崎との対決も注目だ(写真はマラガ港公式より)。

 マラガにとって岡崎慎司の獲得はまさにサプライズだった。

 昨シーズン、昇格プレーオフ1回戦でデポルティボ・ラ・コルーニャに敗れ、1部復帰を逃したチームの大きな課題となったのが、前線の決定力不足だった。

 そこで、アトレティコ・マドリーでも同職を務めたことがあるホセ・ルイス・カミネロSDが新シーズンに向けて市場でストライカーを物色。そこで代理人から売り込みがあったのが岡崎だった。日本の皆さんには説明不要だろう。レスター時代にプレミアリーグ制覇(2015-16シーズン)に貢献し、日本代表の一員として3度のワールドカップ出場(10、14、18)を果たすなど、豊富な実績を誇る実力者だ。

 一方のマラガは、惜しくもベスト4進出を逃したとはいえ(準々決勝はドルトムントにトータルスコア2-3で敗北)、12-13シーズンにチャンピオンピオンズ・リーグで8強に進んだのが遠い昔のように2部に低迷し、クラブは深刻な経営難に見舞われている。

 当初は「高嶺の花」で獲得は困難と思われていたオペレーションは、しかし一度交渉が始まると、2部であってもスペインで新たな挑戦をしたいという岡崎の強い熱意が決め手となり、スムーズに話は進み合意に達した。その後、オーナーのアブドゥラ・アル=タニのゴーサインが出ずに数日を要したが、7月30日に晴れて正式に契約が成立した。
 
 その両者の橋渡し役となったのが、マラガに所属するルイス・エルナンデスだ。16年夏からわずか半年間ながらレスターで岡崎と一緒にプレーしたDFで、今回の移籍にあたり相談に乗って決断を後押しした。現在この30歳のCBにも移籍の噂があるが、残留することになれば、新たな環境に適応しなければならない岡崎にとって頼もしい存在となりそうだ。

 日本人クラックとの合意のニュースが出て以降、マラガの街は大いに盛り上がっている。もともとマラガはサッカー熱が高く、新聞やテレビでもこのニュース一色といっても過言ではない。

 地元一般紙の『マラガ・オイ』のスポーツ部編集局長のホセ・マヌエル・オリアス氏はそんな"オカザキ・フィーバーぶり"をこう語った。
 

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