見えてきた前人未到の『8年連続ふた桁得点』。浦和のエース興梠が金字塔を打ち立てる日は近い

2019年08月01日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ポジショニングの妙が光った鹿島戦のゴール

鹿島戦で今季8ゴール目を決めた興梠。前人未到の大記録を視界に捉えている。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ16節]浦和1-1鹿島/7月31日/埼玉スタジアム2002
 
 7月31日、J1・16節の鹿島アントラーズ戦。自身の33歳の誕生日でもあるこの日も、浦和レッズの興梠慎三はいつものように淡々とゴールを狙っていた。
 
 関根貴大のクロスを合わせようとした3分の場面や、青木拓矢のフワリと浮かせた縦パスにダイレクトで合わせた45+1分のシーンなど、前半の決定機はいくつもフイにしたものの、大仕事をしたのは88分だった。
 
 左サイドの山中亮輔からの高精度クロスを頭で合わせて値千金の同点ゴールをゲット。まさにエースとしての責務を果たし、チームに勝点をもたらした。
 
 力強くもしっかりとコントロールされたヘディングシュートの巧さはさることながら、さらに素晴らしかったのは綿密なポジショニングだ。
 
 山中がクロスを上げようとするタイミングで、ニアサイドに187㌢の長身FW杉本健勇が飛び込んでいくのを確認した興梠はファーサイドに流れて、同時にDFの視界から消える――ほとんどフリーな状態を作り出してみせたのだ。
 
 興梠は試合後、ゴールシーンを振り返る。「健勇をターゲットにクロスを入れてくると思っていた。クロスが大きくなった時には自分がシュートを打てるように、健勇の裏になるべく居ようかなというのは心掛けていました。相手も健勇につられることが多いので、そういう意味では良いポジションが取れたし、決められて良かったと思います」と動きの意図を明かしてくれた。
 
 こうしたポジショニングの妙が光る興梠は鹿島戦のゴールで今季8点目。ふた桁得点まであと2点で、なんと8年連続のふた桁得点を視界に捉えているのだ。
 
 現在は、エジミウソン(元新潟、浦和など)と佐藤寿人(現・千葉/元広島など)と並びJ1記録タイの7年連続。もし興梠が今季ふた桁の大台に乗せれば、単独でJ1記録を塗り替えることになる。
 
 今季はここまで19試合で8ゴール中。このペースなら興梠が前人未到の金字塔を打ち立てる日は、そう遠くないだろう。
 
 浦和のエースは、これからも淡々とゴールを積み上げるはずだ。

【浦和 1-1 鹿島 PHOTO】興梠、バースデーゴール!鹿島は日本代表FW上田綺世がJデビュー!
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 

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