「カゼミーロのように中盤で嫌だなと思われる選手に…」京都橘の“必殺仕事人”志知遼大の守備職人ぶり

2019年07月28日 森田将義

技術の高い相手に対して、粘り強く並走し、ピンチの芽を確実に摘み取った

ボランチで守備職人ぶりを発揮した京都橘の志知(6番)。写真:森田将義

[インターハイ3回戦]京都橘3—0名経大高蔵/7月28日/南城市陸上競技場
 
 逸材でなければ超新星でもない。ドリブルやパスなど得点に直結するプレーもないため、試合で目立つ存在ではないが、チームにいると助かる"一家に一台"的な存在なのが京都橘高を陰で支えるMF志知遼大(3年)だ。
 
 実際にプレーを見るより、チーム関係者の言葉の方が彼の特徴が分かりやすいかもしれない。米澤一成監督が「必殺仕事人。かんざしで首元を刺すような仕事だけを淡々とできる」と話せば、ボランチでコンビを組む主将のMF佐藤陽太(3年)も「志知はバランスを見てボールを繋いでくれるし、"潰しの志知"で有名」と評価する。相手の決定機にすっと表れ、顔色ひとつ変えず、ボールを奪い返す。いわば玄人好みの守備職人で、昨年はバランサー役として守備に奔走した佐藤が、今年に入って攻撃を謳歌できているのも、志知がいるからだ。
 
 名経大高蔵高を迎えた3回戦は、そうした志知の職人ぶりを改めて感じた一戦だった。「昨日は勝つことができたけど、チームとして戦う土台の部分が欠けていた。なので、今日は立ち上がりからアグレッシブに前から奪いに行こうと話していた」と振り返る通り、立ち上がりから前からの守備によってこぼれたセカンドボールを高い予測力を活かして、確実に回収。キープ力に長けた選手が多い名経大高蔵の中盤に対しては焦れずに対して、「一発で奪いに行くのではなく、ファウルにならないようにボールを突いていこうと意識していた」と粘り強く並走して、ピンチの芽を確実に摘み取った。
 
 攻撃でもセーフティにロスなく散らしてリズムを生みつつ、前方にボールが入るとフォローの動きも忘れない。"必殺仕事人"志知遼大はチームから外せない選手で、3点差までスコアが開いたこの日は、GKを含めて交代枠を使い切ったが、米澤監督はボランチの二人に関しては手を加えなかった。
 

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