「一朝一夕にできるものではない」名手ブスケッツが神戸の「バルサ化」を語る

2019年07月28日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

“元バルサ”をかき集めれば実現するわけでは…

神戸戦は前半のみプレーしたブスケッツ(左)。盟友イニエスタ(右)とのマッチアップも。写真:山崎賢人

[Rakuten CUP]ヴィッセル神戸0-2バルセロナ/7月27日/ノエビアスタジアム神戸

"本家"とのクオリティーの違いを、神戸の選手たちは痛感したことだろう。

 前半から圧倒的にボールを支配したバルサは、後半から投入されたカルレス・ペレスが2ゴールを奪い、快勝を収めている。

 その21歳の新鋭をはじめ、Bチームの選手を数多く起用し、しかも先のコパ・アメリカに参戦したリオネル・メッシとルイス・スアレスらが不在という、いわば飛車角落ちの状態で、「バルサ化」を目指す神戸を一蹴。その差は歴然だったと言わざるを得ない。

 その神戸の中で唯一違いを作り出し、質の高いパスを連発したアンドレス・イニエスタは、試合前日の会見で「バルサ化」について、こうコメントしている。

「魅力的なサッカーというのが私たちのアイデンティティーで、自分たちも楽しめるサッカーをやりたいと思っている。そのためには何よりプロセスが大事で、一人ひとりが最大限の努力をしてゲームで力を発揮する必要がある。もちろん、求めているのは結果で、結果を出すためにこのスタイルを追求していかなければならない」
 
 このイニエスタの発言を受け、会見に同席したスペイン代表MFセルヒオ・ブスケッツは、神戸に対してこんなアドバイスを送った。

「僕もアンドレスと同じ意見だ。プロジェクトを実現するには、忍耐が必要だと思う。アンドレスやビジャ、セルジ(サンペール)がいたとしても時間はかかる。サッカーは一朝一夕で変えられるものではない。(ファンやメディアは)信望強く待ってほしい。そうすれば結果がついてくるだろう」

 この名手の言葉通り、元バルサの選手をかき集めれば魅力的なサッカーができるわけでない。「言うは易く行うは難し」で、実際ヴィッセルはリーグ戦で下位に沈んでいる。

 この神戸戦でブスケッツは、普段のようにビルドアップ時に厳しいチェックを受けることもなかったため、悠々と自慢のパスワークを見せつけた。それは神戸陣営に、「簡単にバルサ化なんてできるものじゃない」と諭しているようでもあった。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
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