大分戦の3得点に見えた川崎の充実ぶり。“L・ダミアン効果”も示された“地空”での見事な崩し

2019年07月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

大きな収穫と言えたのは3ゴール目

途中出場のL・ダミアンはロングボールを収め攻撃の起点に。短い時間ながら存在感を示した。(C)SOCCER DIGEST

[J120節]川崎3-1大分/7月27日/等々力
 
 リーグ3連覇を目指す川崎は、7月27日に迎えた大分とのJ1・20節に3-1で勝利し、消化試合がひとつ少ないなか、首位FC東京との勝点差を4に縮めた。これでリーグ戦は15試合負けなし。いよいよ王者が本領を発揮し始めた印象だ。
 
 中村憲剛が「(前節のFC)東京戦のように前から行こうという想いがあった。ただその狙いが見事にスカされました」と話したように、大分戦は序盤は苦戦を強いられた。ただ、25分ごろに導入された"飲水タイム"で守備のやり方を修正。状況によっては後方でブロックを作り、相手の攻撃をいなして流れを掴んだ。
 
 そのなかで奪った3ゴールはどれも見事だった。
 
 1点目は51分。ボランチの下田北斗が中村との華麗なワンツーで相手のバイタルエリアに侵入すると、左サイドから中央へ走り込んだ齋藤学へスルーパス。齋藤がダイレクトで蹴り込み、ここまで好守を見せていた大分GK高木駿の牙城を破る。自慢のパスワークで中央を崩す"川崎らしい"得点だった。
 
 2点目は同点に追い付かれた直後の61分。相手のパスミスを見逃さなかった中村が中盤でボールを奪うと、小林へパス。相手エリア内で寄せてくるDFを切り返しでかわした小林は、冷静に左足でシュートを流し込む。「憲剛さんとは分かり合っている。言わなくても分かる一番の選手が憲剛さん」と小林は語り、チームが誇るホットラインの強力さを改めて実証したゴールだった。
 
 そして今後に向けて大きな収穫と言えたのが85分に奪った3点目だろう。自陣からGKチョン・ソンリョンが蹴ったロングボールを、71分から登場したレアンドロ・ダミアンが空中戦で相手DFと競りながら抜群のボディバランスで胸トラップし、中央へドリブル。最後はパスを受けた阿部がダイレクトでゴールネットを揺らした。
 
 阿部の技術の高さが光るシュートではあったが、その崩し方がこれまで"地上戦"を得意としてきた川崎にとって、シンプルなロングボールで状況を打開したところに大きな意味がある。今季開幕前には"地空"両面での攻撃の強化へ、元ブラジル代表FWのL・ダミアンを獲得したが、その意味がようやく表われ始めたように映る。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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