見応え十分な攻防。川崎FW小林悠と大分GK高木駿が“元同僚対決”に込めた想い

2019年07月28日 本田健介(サッカーダイジェスト)

後半に小林が高木の牙城を崩す

笑顔で再会を果たした小林(写真左)と高木。試合では見応えのある攻防を見せた。(C)SOCCER DIGEST

[J120節]川崎3-1大分/7月27日/等々力

 7月27日に行なわれたJ1・20節の川崎と大分のキックオフ前、笑顔で互いの健闘を願うふたりがいた。
 
 ひとりは川崎のFW小林悠で、もうひとりは大分のGK高木駿である。31歳の小林は言わずと知れた川崎のエースであり、30歳の高木は2012年、13年、16年に川崎に所属。17年に当時J2であった大分に移籍し、翌年に守護神の座を獲得すると、今季はJ1の舞台で活躍を見せている。
 
"元同僚対決"となったふたりのマッチアップは、前半から迫力のある攻防を展開。32分には右からの齋藤学のクロスを小林がボレーで合わせるも、これはすんでのところで高木がセーブした。
 
 そしてともに好プレーを見せたのが35分。相手エリア内右にいた阿部浩之からのヒールパスを受けた小林は反転しながら左足でシュート。鋭い一発は決まったかに思えたが、高木が右手を精一杯伸ばしてボールをかき出す。満足そうな表情を見せる高木と、苦笑いを浮かべる小林の姿が実に印象的だった。
 
 高木は小林との対戦を「前半の悠さんのふたつかな、止めたやつは気持ち良かったです。僕は止めた後にあまり『よっしゃ』とかやらないんですが、悠さんを止めた2本目のやつは自分のなかでは完璧だったので、『よっしゃ』と言っちゃいました。でも悠さんは僕に止められて絶対に悔しかったと思いますし、後半、痛い目に遭いました」と振り返る。
 
 高木の言葉通り、後半に先輩の意地を見せたのが小林だった。61分、中村のスルーパスをゴール前で受けた男は、寄せてくる相手DFを巧みにかわし、左足で高木の手の届かないコースにシュート。1-1に追い付かれたばかりのチームを救う貴重な勝ち越し弾を奪ってみせたのだ。
 
 小林は試合後、「ナイスキーパーでしたよ。(前述の35分のシュートは)感覚的には入っていましたからね。自分のなかであれがベストな選択でしたし、あれを止められたらしょうがない。でも(最後に)決めたのは僕なので、勝ちですと言っておいてください」と冗談交じりに笑顔を見せる。
 
 もっとも後輩の成長にも表情を緩めた。
 
「やっぱり足もとが上手い。あれは嫌ですよ。大分のポゼッションを支えているというか、守備にいって、良いところにフワッと落とされると、辛いんですよね」と、その技術の高さを認める。
 
 一方の高木は「3失点したのは本当に悔しいですが、元気な姿を見せられたと思いますし、自分自身こういうプレーを続けたいです。また等々力に戻って来られるように頑張りたいです」と気持ちを新たにした。
 
 試合を引き締めたふたりの対戦は、次回も実に楽しみだ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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