英国人記者が紐解くチェルシー指揮官の横顔! ランパードの“素質”はパブリックスクールで培われたものだった!?

2019年07月22日 スティーブ・マッケンジー

サッカー一家に育ったサラブレッド

現役時代の多くを過ごしたチェルシーに監督としてカムバックしたランパード。その手腕や人柄を英国人記者が明かした。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 周知の通り、7月19日に日産スタジアムで行なわれたJリーグワールドチャレンジは、川崎フロンターレがチェルシーを1-0で破った。

 この試合を記者席から眺めていた私は、川崎は勝利に値したと感じている。

 たしかに川崎はシーズン途中で、対するチェルシーはフランク・ランパード体制3試合目で、さらに来日間もない過密日程。両チームのコンディションに差があったのは、考慮すべきポイントだ。しかしながら、Jリーグ王者は、非常にスムーズにパスを出して自信を持ってプレーし、プレミアリーグのメガクラブを相手にリスペクトし過ぎることなく、堂々と立ち向かっていた。

 そんな川崎に競り負けたチェルシーに対して、現場に足を運んでいた英国メディアの記者たちは、悲観的な見解をしていたが、私は決して落胆しすぎる内容ではなかったと考えている。これはまだプレシーズンであり、新チームが発足してからまだ1週間足らずなのだから。

 私は今シーズンのチェルシーを興味深く見守っている。監督キャリア2年目のランパードに可能性を感じているからだ。
 
 ランパードの監督としての素質は、1年目の昨シーズンにチャンピオンシップ(イングランド2部)のダービー・カウンティを率い、昇格プレーオフ圏内の6位に導いた実績もさることながら、彼の血筋と生い立ちが物語る。

 彼はまさにサラブレッドだ。父親のフランク・ランパード・シニアは、選手としても成功を手にした男であり、若き日の私はウェストハムのユースで彼の薫陶を受けた。あの指導は今でも忘れがたいものがある。

 また、彼の叔父は、名伯楽ハリー・レドナップだ。つまり、ランパードは、幼い頃からプロのサッカーというものが近くにあり、その知識を養ううえで、優れた環境に身を置いてきたと言える。

 加えて、博学的な点も指揮官として頼もしい。というのも、ランパードは、イングランドのサッカー選手としては非常に珍しい有名なパブリックスクールの出身者なのだ。成績は非常に優秀で、その優れた人間性はそこで養われたのだった。

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