【川崎】FC東京のプレスの無力化。阿部が多摩川クラシコで示した凄みとは?

2019年07月15日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

最大のハイライトは──

多摩川クラシコでインテリジェンスも感じさせた阿部(中央)。写真:サッカーダイジェスト

 川崎がFC東京を文字通り圧倒した今回の多摩川クラシコ。FC東京の前線からのプレスをものともせず、的確にボールをつなぐ川崎の上手さが際立った試合だった。
 
 1得点・1アシストの小林、2アシストの下田はもちろん、貴重な2点目を決めた齋藤、トップ下で躍動した中村、D・オリヴェイラに仕事をさせなかったジェジエウや登里などの働きも素晴らしかった。
 
 なかでも個人的に印象に残っているのが阿部だ。上位対決ということもあって一種異様な雰囲気に包まれた試合でも、どこかひょうひょうと、それでいてツボをしっかりと押さえたプレーでFC東京のプレスを無力化しているところに凄みを感じた。
 
 ボールを持っても無理に仕掛けず味方に預けたかと思えば、上手くスペースを見つけ出して改めてボールをもらう。「この蒸し暑いなかで相手をいっぱい走らせて、それが後半に効いたと思う」と本人も話しているように、FC東京をいなす阿部のプレーにはインテリジェンスも感じた。
 
 実際、この試合に臨むうえで阿部はFC東京の試合を見て研究したという。その甲斐もあってか、阿部のパスをもらう位置、裏のスペースに抜け出すタイミング、ボールの置きどころ、そのいずれもが目を見張るレベルにあった。相手の出方次第で臨機応変に対応できるセンスは見事のひと言に尽きた。
 
 最大のハイライトは、69分に左足で決めたミドルシュートだろう。下田からのパスをいとも簡単に、絶妙のコースに蹴り込む技術は天晴れ。まさしくプロならではの一撃だった。
 
 試合の流れをきっちり読んで、それに応じたプレーでチームに貢献、しかも得点にまで絡む。阿部のような気が利く選手がいるからこそ、小林や中村もゴールチャンスに恵まれるのであって、その意味で、今回の多摩川クラシコにおける阿部の働きは称賛に値した。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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