【選手権/代表校レポート】群馬・前橋育英|総体での敗戦を糧にフィニッシュの意識向上で頂点を狙う

2014年11月10日 安藤隆人

インターハイ4強もさらなる進化へ「前に素早く攻める練習をした」。

前橋育英
所在地:群馬県前橋市朝日が丘町13
創 立:1962年
創 部:1964年
主なOB:細貝萌(ヘルタ・ベルリン)、青木剛(鹿島)、田中亜土夢(新潟)など

 夏の悔しさを胸にリスタートを切った『上州のタイガー軍団』が、いまだその頂上を極めていない選手権の初制覇に向けて、順当に全国の舞台へ駒を進めた。
 
 前橋育英のここまでの足取りを語るうえでポイントと言えるのが、今夏山梨で開催されたインターハイでの戦いだ。この大会で前橋育英は快進撃を続けた。プリンスリーグ関東では、春先から不安定な戦いが続き、チャンスをものにできない勝負弱さと、守備面での不安を露呈していたが、山梨の地で彼らが見せた戦いぶりは、そうした不安要素を一掃するものだった。
 
 攻撃面ではMF渡邊凌磨、FW青柳燎汰、坂元達裕、関戸裕希らが流動的な連係で、バイタルエリアを活性化。右の岩浩平、左の渡辺星夢の両SBも、フレキシブルなアタッカー陣にうまく連動して、効果的なオーバーラップを見せた。左右中央からバランスのとれた攻撃で、チームは全国の強豪たちを次々と打ち破っていった。
 
 守ってはボランチで主将の鈴木徳真が、「昨年までは前に行って攻めたい気持ちが強かったけど、今は勝利のために自分は守備に徹した方がいいと判断している」と、抜群のポジショニングとずば抜けたボール奪取能力を見せつけ、攻撃の芽を巧みに摘み取った。
 
 不安視されていたCBとGKも、インターハイを通じて急成長。特にGK吉田舜の安定感は一気に増し、とりわけハイボールへの対応はワンランク上がった印象を受けた。「こんなに勢いが出たり、変わるものなんだな」と山田耕介監督も驚いたように、逞しく変化を遂げたチームは、インターハイでベスト4まで進んだ。
 
 しかし、準決勝では大津を相手に、1点が奪えず、0-1の敗戦。優勝できる勢いを感じていただけに、この敗戦は彼らにとって非常に悔しいものになった。
 
「選手権は全国制覇しか考えていない」と鈴木が語ったように、この敗戦によって選手たちの意識はさらに向上。山田監督は、「このチームはある程度高いレベルのポゼッションはできる。でも『ポゼッションしているだけ』の時間がまだまだあるので、徹底してダイレクトプレーを駆使して、前へ素早く攻める練習をした」と、ポゼッションをしながらも、チャンスと見たらワンタッチ、ツータッチでテンポ良く前に運んで、ゴールを陥れる意識をチームに植え付けた。

次ページ県内のライバルを圧倒し、「東福岡に勝って日本一」を目指す。

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