【天皇杯】チャントも飛び出す“大物”の存在感。金星ならずも指導者・平山相太が残した爪痕

2019年07月11日 塚越 始

監督はスタンドからの指揮。ベンチ入りは『国見コンビ』のコーチ陣

仙台大のコーチとしてベンチ入り。平山相太が指導者としてピッチに戻ってきた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯2回戦] 横浜FC 2-1 仙台大/7月10日/三ッ沢
 
 誰よりも大きな身体と短髪、優しい顔。仙台大のベンチに見覚えのある、というより、一目で分かる懐かしい"大物"が座り、陣頭指揮を執っていた。


 元日本代表でFC東京とベガルタ仙台に在籍した190センチの平山相太が、コーチとしてベンチ入りしたのだ。
 
 メンバー表を見ると、平山が一番上に書かれていて、「監督」扱いのようになっていた。が、決して「代理監督」ではなかったようだ。
 
 試合後の公式記者会見には、U-16日本代表コーチなども経験している仙台大の吉井秀邦監督が臨み、次のように、この日のコーチングスタッフの"布陣"について説明した。
 
「今日私はベンチに入らず、スタンドから試合を観ていました。ベガルタ仙台と提携をしていまして、派遣されて来ている吉田祐幸コーチ、さらに元日本代表の平山くんにベンチに入ってもらいました。その関係で、上からの指揮となりました。ちなみに吉田さん、平山くんの国見高校出身。『国見コンビ』で今日は行こうという意図もありました」
 
 ベンチの「監督」の場所にあたる端に座った平山コーチは、冷静に戦況を見極めながら、試合を見守っていた。ゴール裏を埋めた仙台大応援団からは「ヒラヤマ」チャントも飛び出して、選手との良い関係性が築けていることを窺わせる。
 
 そして前半から押し込みながら試合を進め、ついに48分、藤岡優也が先制点を奪取! 平山コーチも自分のことのように喜び、選手たちと歓喜し合った。
 
 しかし……そこから横浜FCの猛反撃に合い、結果は1-2の逆転負け。ジャイアントキリング達成はならなかった。
 
 試合後には、横浜FCのゴール裏に選手とともにあいさつに行き、この日同大会最年長出場を果たした52歳の"キング・カズ"三浦知良とも握手と抱擁を交わして、互いに健闘を称え合っていた。
 
 試合後、メディアに囲まれた平山コーチは「今は勉強中なので」と、あくまでも吉井監督が第一で、自分はサポートの立場であることを強調していた。
 
 ただし、そのあと幸運にも個人的に話す時間があった。
 

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