ホーム4連続引き分けの川崎、”ポスト中村憲剛”の脇坂泰斗に光明

2019年07月09日 江藤高志

完璧なトラップで守備陣を置き去りに。GKと1対1も…

完璧なトラップでゴールへあと一歩と迫った脇坂泰斗。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ18節]川崎0-0鳥栖/7月7日/等々力

 スコアレスドローに終わった鳥栖戦の中、良さを出せていた選手の一人が脇坂泰斗だった。相手選手の間に顔を出してボールを引き出し、攻撃的なプレーを駆使して局面を打開し続けた。その脇坂は、試合を次のように振り返っている。

「(6月30日)前節の磐田戦よりもボールは多く受けられましたし、相手の嫌なところは突けたかなというのはあります」

 1点を奪った磐田戦についても脇坂は勝利に貢献するプレーが出せていた。ただそこで満足せず、反省すべき点を改めて試合に臨む。鳥栖戦での良さにつながるそうしたプレーの見直しについては、試合に限らず日々の練習の中で常に行っていると脇坂は話す。

「日々の練習の中で、一つひとつのプレーの後、そのプレーについて考えています。ダイレクトで当てた後、今はターンしたほうが良かったなとか。パスを出した後も、もう少し待てばもっとこっちに食いついたかもとか。日々のトレーニングが終わった後、そのプレーの一つひとつを感覚として残すようにしています」

 そうした反省を日々続けてきた脇坂が、最もゴールに近づけたシーンがあった。家長昭博からのパスを引き受けた脇坂が抜け出し、GKと1対1になった41分の場面だ。

 当初は田中碧からパスを貰えるよう準備していたという脇坂だったが、田中は家長へのパスを選択。その時点で脇坂はプレーイメージを切り替え、3人目の動きを意識していた。そこに家長からのパスが入ってきた。

「あそこで碧から受けに行って出なかったときのアキさん(家長)からの3人目というのは、練習で今やってますしいいボールが来たので」

 この場面の真骨頂は、脇坂が見せた完璧なトラップだった。瞬時にボールの勢いを殺しつつ、守備陣を置き去りに出来る強さで前方にコントロール。GKとの1対1に持ち込んだ。ただ、このシュートは結果的にGKに弾かれてゴールならず。引き分けに終わる要因の一つとなった。

 試合後、この場面について問われた脇坂は「読みやすい打ち方だったのかなと思いますし、もっともっと落ち着いてコースに流し込めるように、余裕が出てくるように、やっていきたいなと思います」と反省していた。

 前述のとおり、脇坂はあのシュートの直後には自らのプレーを分析し、反省しているはず。落ち着いてシュートできれば狙ったコースには蹴れる選手だ。必ずまた来る次のチャンスでは、ゴールを決める脇坂にアップデートされているはずだ。

取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト)

【川崎0-0鳥栖 PHOTO】川崎が首位追撃へホームで痛いドロー。

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