【三浦泰年の情熱地泰】コパ・アメリカ編|誰もがしんどい3位決定戦。だからこそ、退場も挑発もレッドもあってはいけなかった…

2019年07月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

3位決定戦を戦う選手のメンタルは決勝を戦う選手よりもしんどい?

メッシとメデルがともに一発退場に。やや厳しい判定にも見えたが…。(C) Getty Images

 コパ・アメリカの決勝がマラカナンで行なわれる時間帯に、僕は雲の上にいる。日本へ帰る飛行機の中だ。
 
 3位決定戦をテレビで観戦。サンパウロのグアリューロス空港へ向かうため、前半まで見てという時に「メッシ」の退場。どこか南米サッカーに不安を感じた。
 
 前半、2点を先制したアルゼンチンがそんなに焦る必要はなかった。それはアルゼンチンもよく使う手だ。2点取られて冷静になられたら勝ち目がない。
 
 南米ではよくある挑発の類だ。勝っている相手のメンタルを崩しに来る。チリは明らかに退場劇になる前から、そのような兆候を見せていた。
 
 現地で観戦していた友人と、「チリは悪いな~」というメッセンジャーでのやり取りをしていた矢先に、メッシの退場だ。
 
 僕にとってこの試合は終わったも同然だった。友人からも「早めに帰ります」とのメッセージが入った。この試合を会場で見てから空港に向かったらどうか、と友人に誘われていたが……。
 
「行かなくて良かった」が本音のところだ。
 
 2006年ワールドカップ決勝のフランスvsイタリアで、ジダンが頭突きで退場になった時もそうであったが、最後までメッシのプレーを見たかった。先制点のアシスト。素早いクイックリスタートからアグエロへの得点をお膳立て。
 
 お互いに悔しい準決勝での敗戦からメンタルとフィジカルコンディションを整えて試合に臨んだはずだ。
 
 しかし、チリのサンチェスは数分で筋肉への違和感なのか交代……。そんなプロであっても難しい3位決定戦で、メッシは素晴らしいパフォーマンスを見せていた。
 
 試合前夜、日系人のホームパーティーに招待された。会話の中で、3位決定戦をネガティブに捉える意見を主張する人がいた。
 
「敗北者は戦わなくて良い」「ヨーロッパの『EURO』は3位決定戦はない」と言うのだ。
 
 なぜEUROに3位決定戦がないのか本当のところは分からないが、それが彼の持論なんであろう。大きな声と強い顔つきで訴えていた。
 
 ただし、僕は逆の考えだ。
 
 凄いことだ。誰もが決勝に進みたいとプレーする。
 
 当たり前だ。それを考えれば、選手も3位決定戦なんか、ない方が良いと思う。2チームが同一3位で有り難い。それを決める試合は、決勝を戦う選手よりどれだけ、しんどいか?
 
 だが、それをそう言ってしまってはいけない。そこへしっかり整えてピッチに立った選手をリスペクトしなければいけない。
 
 だからこそ、メッシ退場はあってはいけなかったし、挑発したチリのメデルもしてはいけない行為だった。そして判定として、レフェリーもだからこそレッドではなくイエローで良かったと僕は思う。
 
 早い時間帯に失点をしたチリは、明らかにレフェリーへの抗議や詰め寄るシーンが多かった。これも南米では、駆け引きも含めよく見かけるシーンなのだが……。
 
 レフェリーはそんな試合をコントロールするためだったのか? あるいは、見せしめだったのか? 残念だった。
 

次ページコパ・アメリカがメッシの退場を払拭するエンディングを迎えてほしい

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