「たいてい次の日には落ち着くが…」3決を前にしてもアルゼンチン代表監督が嘆き節【コパ・アメリカ】

2019年07月06日 石川聡

チリはビダルが負傷で出場が微妙な情勢

ブラジル戦の敗北から中2日。スカローニ監督(写真)はいまだショックを引きずっているようだ。(C)Getty Images

 現地6月14日に開幕したコパ・アメリカ2019も、いよいよクライマックス。7月6日16時(日本時間7日4時)からは、サンパウロ市のアレーナ・コリンチャンスでアルゼンチン対チリの3位決定戦が行なわれる。同5日、試合会場で両チームが前日練習、監督会見に臨んだ。

 前日からの雨は上がったものの、空には厚い雲が垂れ込め、日差しをさえぎっている。そのような雲行きと同様、アルゼンチンのリオネル・スカローニ監督の心も晴れないようだ。0-2で敗れたブラジルとの準決勝に触れて、「普通、まずはなにかが奪われたと強く思っても、たいてい次の日には落ち着くもの。でも、今回は違う。時間が経てば経つほど、(決勝進出を)奪われたという意識が強くなっているんだ。我々は傷ついている」と、依然として敗戦を引きずっていることを明かした。

 さらには、お決まりともいえる監督続投への質問が飛ぶ。「12月の契約期間まで(国際親善)試合が残っている。その後のことは(アルゼンチン・)サッカー協会が決めるだろう」と述べ、少なくとも年内はチームの指揮を執る意志を示した。南米では来年3月からワールドカップ予選がスタートする。

 決勝進出を逃したショックから覚めやらないものの、「ポジティブな感触を掴んで帰国したい。前に進まなければ」とスカローニ監督。警告累積によって左サイドMFのマルコス・アクーニャ、FWラウタロ・マルティネスは出場停止となり、それぞれアンヘル・ディ・マリア、マティアス・スアレスの出場が見込まれている。

 一方、チリの不安はアルトゥーロ・ビダルの負傷。ペルーに0-3と苦杯を喫した準決勝で、前半半ばに相手選手と競り合って転倒した際、足首を傷めた。その流れから、ペルーのエディソン・フローレスの先制点が生まれている。コロンビア人のレイナルド・ルエダ監督が「心理的に痛かった」と振り返る場面で、ビダルはタイムアップまでプレーしたが、痛みに耐えながらピッチにとどまったようだ。ルエダ監督は「(出場できるかは)まだはっきりしない」と話し、試合当日の様子で判断するという。

 
 アルゼンチンとチリは、2015年のコパ・アメリカ、翌2016年にも同じくコパ・アメリカの百周年記念大会で、いずれも決勝で対戦。どちらも延長戦を含めて0-0と共に譲らず、チリがPK戦の末にアルゼンチンを下して南米王座に就いた。ビダルは準決勝の敗戦後、「3位では意味がない」と語ったと伝えられているが、これはルエダ監督が「決勝進出を逃した直後の言葉だから」と擁護。指揮官は「威厳と誇りを持って大会を締めくくりたい」と述べ、「強度が高く、いい試合になるだろう」と予想している。

 なお、アルゼンチンとチリは、ウルグアイ、パラグアイと共に4か国共同で2030年のワールドカップ招致を目ざし、キャンペーンの映像が今大会開催スタジアムの大型スクリーンなどで流されている。1930年にウルグアイで産声を上げたワールドカップを、百周年で里帰りさせようというわけだ。

取材・文●石川 聡
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事