蔚山の挑発にも冷静だった浦和。大槻監督が逆転劇のポイントに挙げたのは「倒れた回数」

2019年06月29日 塚越 始

終盤、自陣ゴール前の混戦で次々とピッチに倒れ込んだ蔚山の選手たち

興梠が2ゴールを挙げて2戦合計で逆転。大槻監督は戦いへの姿勢をポイントに挙げていた。(C) Getty Images

 豪雨の敵地・韓国で浦和が蔚山現代から3ゴールを奪い、かつ無失点に抑える逆転劇(2戦トータル4-2)で、ACLベスト8進出を決めた。そのミッション達成を語るうえで欠かせないのが、ブラジル人DFマウリシオの先発復帰と文句なしの活躍ぶりがあった。リベロとして、相手選手との数的同数や数的不利の状況に置かれても、動じることなく対応し、リスクを考慮したうえで確実にボールを奪い取っていった。

 
 逆に言うと、2失点して落としたホームでの第1戦のように、彼が不在の時、浦和の守備力は大きく落ちてしまう。その明確な課題も突きつけられた。韓国から帰国して中3日で組まれたアウェーの大分でのゲームは、彼の起用法や守備陣のマネジメントもポイントになりそうだ。
 
 さて、蔚山での試合の後半途中、マウリシオが相手守備陣との接触で熱くなるシーンがあった。というか、蔚山現代の選手たちに絡まれた。
 
 浦和が1-0のリードで迎えた70分、山中のCKからの競り合いでGKがボールをキャッチしたところ、競り合ったマウリシオの伸ばした手がそのGKの顔の近くに伸びた。
 
 するとGKは大きなジェスチャーでピッチに倒れ込む。そこで両チームの選手が集まり、もみくちゃになる。なぜだとマウリシオが手を広げると、その手に触れたとして、何人かが卒倒した。挑発されていると気付いたマウリシオは、その輪から離れていく。ほかにも浦和の選手に触れるだけで、倒れるふり、をする相手選手が相次いだ。
 

 結局、マウリシオにイエローカードが出た。そこでマウリシオは何もしていないと主審に主張したものの認められなかった。
 
 振り返ると、ここもひとつの分岐点になった。
 
 大槻毅監督は試合後の記者会見で次のように語っていた。
「この2戦目は我々のほうがピッチにしっかりと立っていて、彼らのほうが倒れる回数が多かったと思います。いろいろな戦略、作戦、戦術がありますが、試合前、そこの回数でゲームが決まるのではないかと、選手たちに伝えて送り出しました。
 
 そういったところで上回れなければ勝利は持ってこれない、と。その戦いで上回ることができた。選手たちのパフォーマンスには、非常に誇りを感じています」

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